88.私のこの感情は恋なの?

「いい!?今日は絶対に一人でいちゃダメよ!?必ずヒエンとレイカをつける事!!いいわね!?」


と、お姉様に肩をガシッと掴まれてそう言われた時は、とりあえず首を縦に振り続けたが、私はどうしても一人になりたかったので、ヒエンとレイカには悪いけど退室してもらう為に、お姉様への伝言をお願いして退室してもらった。


とにかく、今の私は一人になって考えたかった。誰かが私の手の甲に唇を落としたらしいけれど、そんな事が頭に入っていないぐらいに、私の頭の中にはライアット様が言われた言葉が頭から離れなかった。


『あっ、でもそっちのお嬢ちゃんは誰かに恋してる匂いがするな』


その言葉を思い出した途端、私の胸がトクンと高鳴る。そして、思い出すのはクラーケンでお姉様と唇を重ねた事実、お姉様が新しいドレスを着た時の女神かと思うような美しさ、私を問い詰めようと近づいてくるお姉様の顔に……唇……


また心臓の音が早鐘を打って高鳴り、私は苦しくもないのに胸を抑える。


私の胸を焦がすこの感情……この感情……まさか……私はお姉様に恋をしているの……?


そう思い至って、私は慌てて私は否定するように首を横に振る。いや、そんな訳がない。私がお姉様に恋をするなんてあってはならない。

だって……私は……お姉様を何度も救えないダメな妹だから……


「えっ……?お姉様を何度も救えないって……一体何の話……?」


私は私が更に思い至った感情に戸惑ってしまう。


そうして、グルグルと頭を悩ませていたせいだった。私は背後から忍び寄る気配に気づけなかった。そして、突如私の視界は真っ暗に染まった……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る