80.妹のアレを奪ってしまいますが、妹の命には代えられません!
クラーケンの足に捕らわれたアリーを追って海へと潜った私。アリーは目をつぶってグッタリしている。無理矢理海へと引きずりこまれてかなりの水を飲んで意識を失ってるのかも……急がなきゃ!!
私は足を蹴って潜水するスピードを上げた。そして、アリーの所まで追いつくと、「魔法闘技マジックアーツ」でアリーからクラーケンの足を引き剥がした。
思った通り……上手くいったわね。「魔法闘技マジックアーツ」は厳密に言えば魔法を発動させてる訳じゃない。自分に宿ってる魔力を身体に乗せて身体を強化させる技である。なので、魔法を発動させる技でないなら、魔法耐性の影響を受けずに引き剥がせるんじゃないかとふんでいたが、どうやら当たりだったようだ。
しかし、クラーケンも足が何者かに引き剥がされたのに気づいたのか、再びエサを確保しようとする為に足を伸ばしてくる。
って!あんたみたいなイカ野郎に大事な妹を渡す訳ないでしょうが!!
私は伸びてきた足を、片手で掴み、片腕の力だけでクラーケンを放り投げた。
先程の戦いのダメージが効いていたのもあったのか、クラーケンは特に抵抗がないまま私に投げ飛ばされ、近くの岩に激突。そして、完全に撃沈したのか、そのまま海の底深くまで沈んでいった。
もうクラーケンの心配はいらないは次はアリーだ!私はアリーの顔を見た。気を失っていて、その表情は若干苦しそうに私には見えた。
早く助けないと!私はアリーを助けるべき手段を模索して、ある誰でも最初に教わる簡易魔法を思い出した。それは、まさにこの状況にうってつけな、溺れかけて水を大量に飲んだ人から水を吸い出す魔法……人命救助に繋がる為に初代ウィンドガル王国の女王であるアイリーン様が広めた魔法。
これを使えばアリーが大量に飲んだ水を私が引き受ける事が出来る。しかし……それをする為には……私はもう一度チラッとアリーを見て、そして…………決意した。
例え妹のアレを奪う結果になっても!妹の命には代えられない!!
私は口内に魔法を乗せ、そして…………妹の唇を私の唇で塞ぐ。
私が発動した魔法の効果で、妹が飲んでしまった水が一気に私の中に入ってくる。私は思わず妹の唇を離して吐き出すように口を開けてしまい、更に水を入れてしまい、意識が遠のいてしまう……
遠のく意識の中……誰かが私とアリーを抱えて浮上していくのを見た気がした……
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