81.えっ……?もしかして私……妹に嫌われた……?

ん……?ここは……?私が目を覚ましたら、そこは見知らぬ天井で……私……どうしてここに……?


そこで、私は徐々に意識が覚醒し、クラーケンとの一件を思い出し、慌てて跳び起きる。妹は!?アリーは無事なの!!?


すると……


「お姉様……!」


その無事を確認したい私の可愛い可愛い天使のアリーが、私が跳び起きた瞬間に抱きしめてきた。へっ?これは……まだ私……夢の中にいるの……?


「良かった……!もう大丈夫だと言われても……!私……!心配で……!」


アリーが涙ぐみながらそう言ってくる。この暖かさに、この声はまさに現実だ。どうやらアリーも私も無事みたいだけど、一体あれからどうなったんだろうか……?


「良かった。アンナちゃん。目が覚めたみたいね」


すると、私達から数m程離れた椅子に腰かけて、何かを書いていたヴィオル様が、ペンを机に置いて私達に近づいて来た。

後に何を書いていたのか聞いたら、始末書のような物を書いていたらしい……まぁ……あれだけの被害を出したら……ね……


「えっと……ヴィオル様……?」


「分かってるわ。状況説明を求めてるのよね?」


私はヴィオル様の言葉にコクンと首を縦に振る。それを見たヴィオル様がニッコリと笑って状況を簡単に説明してくれた。


私達が浮かび上がって来ないのを心配したヴィオル様が、他に飛び込もうとすると者達を制止し、自らが海へと飛び込んだ。そこで、気を失っていた私達を発見し、すぐに私達を抱えて浮上した。

どうやら、意識が遠のいていた時に見た誰かはヴィオル様だったようだ。それで、かなりの水を飲んでいた私は、ヴィオル様による人工呼吸魔法を受け、事なきを得たそうだ。で、それでもまだ目が覚めない私達は、近くのホテルに連れてかれ、今に至るという。ヴィオル様がこの部屋にいるのは、私が目覚めた時の状況説明の為らしい。

それにしても……その……ヴィオル様はアレを私にした訳で……


「助けていただきありがとうございます。それと……その……私のせいで……そのような行為をするハメになって申し訳ありません……」


「ん?そのような行為……?あぁ!アレの事ね!大丈夫よ!むしろ役得よ♡役得♡」


物凄くいい笑顔でそう言ってくるヴィオル様。それを何故ジト目で睨むアリー。


「あっ……という事は、私もヴィオル様が?」


ふと、気になったのかアリーがそんな事をヴィオル様に尋ねる。


「それがね……不思議な事にアリーちゃんはアンナちゃん程水を飲んでなかったのよ」


「えっ!?そんなはずは……!?」


ヴィオル様の言葉に驚いて目を見開くアリー。そりゃあ、自分が最初に海に引きずり込まれたのに、私より水を飲んでないとかおかしいって思うわよね〜……


「けど、事実よ。まるで誰かが海中で人工呼吸の魔法をかけたのか、アリーちゃんはそんなに水を飲んでなかったから、私が人工呼吸の魔法をかける必要なかったのよ。本当に誰があの状況でアリーちゃんに人工呼吸の魔法をかけたのかしらね〜」


意味ありげなウィンクと笑顔を私に向けてそう説明するヴィオル様。ちょっ!?その説明だと答え一つしかないじゃないですか!!?


案の定、アリーは視線をヴィオル様と私と交互に見て、私とバッチリと目が合った瞬間、アリーの顔が真っ赤に染まり……


「わ……!私……!お姉様の無事を確認出来たので失礼します……!!」


と、叫ぶように言って、慌てて走り去るように部屋を出た。私はアリーが出て行き、バタンと音を立てて閉めた扉を呆然と眺めるしか出来なかった……


えっ……?あれ……?これって……もしかしなくても私……妹に嫌われた……?

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