74.なんとなくこのメンバーが揃うと嫌な予感がするのは私だけ?

ザサ〜ン……ザサ〜ン……


人によっては心地よい波の音。けど、泳ぎがまだしっかり出来ない私にとっては地獄の音にしか聞こえない……


「何で私……ここにいるの……?」


私は目の前に広がる大海原を見てそう呟いた。



事の発端はお父様だった。私がステインローズの屋敷に帰ってきてから数日後、お父様が突然こう切り出したのだ。


「せっかくアンナ達も帰ってきたことだし、家族で出かけてみないか?」


そのお父様の提案に、お母様はもちろん、私達も異論は出なかった。ちょうど私もたまには家族で旅行とかしてみたいなと思っていたし……

けど、ここで珍しくアリーが意見をしたのだ。


「お父様!でしたら!私!行きたい所があるのですが!」


「ほう……アリーがそんな意見を出すのは珍しいね?何処へ行きたいんだい?」


「はい。実は……」


アリーはお父様の耳に口を近づけてヒソヒソ話をする。ん?私達には聞かせたくないのかしら?私達をビックリサプライズさせるような場所なのかしら?


「ふむふむ……なるほど……分かった。では、アリーはそこに行きたいんだね。他に行きたい場所がある者はいるかい?」


お父様はそう聞いたが、私を含めて行きたい場所を提案する人はいなかったので、夏休みの家族旅行はアリーの行きたい場所に決定した。


そして、私は……この時行き先を提案しなかったのを酷く後悔するのだった……



「ね……ねぇ……アリー……ここがアリーの行きたい場所なの……?」


思わず頰が引きずりながらもアリーにそう尋ねたら、アリーは拳をグッと握り


「はい!お姉様!泳ぎを習得するには実践あるのみですよ!」


そう答えた。意外にも、うちの可愛い可愛い妹はスパルタ教師のようである。私は思わずガックリと肩を落とした。


「大丈夫です!お姉様!お姉様が溺れない為にちゃんと対策は用意してきましたから!」


私の妹は私を見てどう思ったのかそんな事を言った。何故だろう……最近こういう事を言う妹に対して嫌な予感しか覚えないのだけれど……


「ところで……カイン王子にヴァン王子にグラン様にリンクスは何でここにいるんですか?」


「いやぁ〜。近くでたまたまパーティーがあって、そこでアリー嬢達を見かけたので、まだパーティーには時間がありますし、婚約者と語るのも悪くないかと……」


「一応……俺も兄上と同じパーティーに出席しているからな……」


「私はカイン王子やヴァン王子の護衛のようなものです」


「俺は、この海で修行しようと思って……」


4人がそんな事を言うけれど、要は夏休みでもアリーに会いたくて、何処で手に入れたかは知らないけれど、私達の行き先の情報を聞きつけてやって来たというところでしょうね。思わず私は軽く溜息をついてしまう。


ケインは私達の義弟だからいるのは当然にしても、4人の攻略対象者まで私達のいる場所に集うなんて……前世の体は子供、頭脳は大人なアニメみたく、事件が起こりそうな予感しかしないのだけれど……

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