73.「魔法少女、妹」最終話『姉妹愛よ、永遠であれ!』

「お姉ちゃん……!?お願い……!?目を覚まして……!?」


ん……アリーの悲痛な叫びが聞こえて反射的に目を覚ます私。あれ?でも、アリーは私を「お姉ちゃん」なんて呼ばないわよね?と、思いながら徐々に意識が覚醒していくと……


「お姉ちゃん……!?」


私はアリーの格好を見て思わずギョッとする。アリーの格好はピンクと白を基調にしたヒラヒラの衣装に身を包んでいたのだ。それはまさに私の前世のアニメでよくある魔法少女のような……ん?魔法少女……あれ?そう言えばアリーの衣装……なんだか見覚えがある気が……


ん?あれ?というか!?ちょっ!?アリーが誰かに首絞められて若干浮き上がってるんだけど!?えっ!?っていうか!?私はアリーを真正面で見てるから……もしかして!?アリーの首を絞めてるの私なの!!?一体何がどうなってるの!!?


『フハハハハ……!いいザマだな!魔法少女、妹よ!』


私の口から私の声と私とは違う別の誰かの声が混ざった感じの言葉が漏れる。ん?魔法少女、妹?しかも、この私のセリフに、別の声の誰かも聞き覚えが……そして、私は自分の格好を見ると、漆黒のドレスに身を包んで、いかにも悪役みたいな格好をしていた。


それで、ようやく私は思い出した。私が今着てる衣装って、私が前世で妹キャラ好きになったアニメ!「魔法少女、妹」の姉が悪役に身体を乗っ取られてた時の衣装じゃん!?って言うか!アリーの衣装も主人公の妹のそれだし!?しかも……このシーンって……もしかして「魔法少女、妹」の最終話のシーンのやつ!?一体何がどうなってるの!!?


「くっ……!?MA-OH!お姉様の身体を返して……!」


あっ、そういえば敵のラスボスの名前そんな名前だったわね……いや!?そんな事どうでもいいわよ!?早くその手を離しなさい!私!アリーが苦しんでるでしょうが!!


『フハハハハ……!返せと言われて返すバカがどこにいる!最愛の姉に殺されるなら本望だろう!?このまま姉の手によって朽ち果てるがいい!!』


そう言って私はますますアリーの首を絞める手を強める。って!?だから!やめなさいよ!?私!


「お……お姉……ちゃん……」


あぁ……!?アリーが苦しそうに私を呼んでいる!?ちょっ!?いい加減その手を離せっての!私!


「ごめん……ね……お姉ちゃんを……助けられない……ダメな妹で……本当に……ごめん……なさ……い……」


違うわ!?アリー!あなたはダメじゃないわ!?ダメなのはこんなMA-OHとか変な名前の奴に操られてる私よ!だから!いい加減!その手を離しなさい!私!


だけど、私がどれだけ抵抗しても、私の手が緩むことはなく、アリーの瞳から涙が一粒溢れる。その涙が私の手に当たった。


すると……


ゴオォォォ〜ーーーーーーーーーー!!!!


『グオォぉ!?何だ!?この光はぁ〜!!?』


眩い光が私を包み、MA-OHを私の身体から追い出す。そして、私は……青と白を基調にしたフリフリの衣装……アリーとはまた異なる魔法少女衣装に身を包む。


ちょっ!?そりゃあ小学生の頃はこんな感じの衣装を着たいとか思ったりしたけど!?前世は17歳で今世は15歳の私にこの格好は……流石に痛い!?今世の私は自分で言うのもアレだけど若干大人っぽい身体つきだから余計に恥ずかしい!!?


「妹!ごめんなさい!あなたをこんなに苦しめてしまって!そして、ありがとう!あなたのおかげでようやく私は私を取り戻せたわ!」


「お姉ちゃん……!」


私がアリーに駆け寄り抱きしめてそう言う。なんか私の身体勝手に動いて勝手に喋ってるけど……もうそういうものと諦めるしかないわね……とりあえず、アリーに害意を与える事は無くなったみたいだし……


「お姉ちゃん!私!嬉しい!お姉ちゃんがまた元の優しいお姉ちゃんに戻ってくれて!」


「妹!私も嬉しいわ!またこうやってあなたを抱きしめられて……」


「お姉ちゃん……!」


「妹……!」


「お姉ちゃん……!」


「妹……!」


『貴様ら!俺を無視してイチャイチャするなッ!?』


私とアリーがMA-OHを無視して見つめ合ってると、当然ながら怒ってMA-OHは怒って私達を睨みつける。


『おのれぇ!!魔法少女共!もう少しで我が野望が達成出来たものを!絶対に許さん!!』


「それはこっちのセリフだわ!MA-OH!」


「あなたのせいで私達姉妹の仲を引き裂いた事!」


『絶対に許さないッ!!』


私達は声を揃えてそう言うと手を繋ぐ。繋いだ手と手からお互いの魔力を共有しあう。そして、私とアリーはステッキを手に取り、私は星を描くようにステッキを振り、アリーはハートを描くようにステッキを振る。


「シスターラブパワー!!」


「スタートゥインクル!!」


『バスター!!!!』


私達がステッキで描いた星とハートが無数にMA-OHに向かっていく。


『グオォォォォぉ〜ーーーーーーーー!!?これが!?姉妹愛か!?姉妹愛よ!永遠であれぇ〜ーーーーーー!!!!』


MA-OHはそう言って爆散する。今思えばすごいセリフを残して爆散するわよね……MA-OH……


「終わったわね……」


「ううん。お姉ちゃん。まだ終わってないよ。MA-OHが残していったものが、私達と同じ姉妹を傷つけてるの」


「そして……それは……私のせいでもあるのね……」


「違うよ。お姉ちゃん。お姉ちゃんを救えなかった私のせいでもある。だから、私達姉妹でなんとかしなきゃいけない問題なんだよ」


「妹……」


「だから……お姉ちゃん。一緒に頑張ろう!」


「妹……えぇ、そうね。一緒に頑張りましょう」


「うん!」


こうして、魔法少女姉妹の物語は終わった。


しかし、魔法少女姉妹の戦いは終わらない。これからも姉妹仲が壊れた姉妹を救う為、戦え!魔法少女姉妹!


って、思わず前世を思い出してナレーションしちゃった……


「魔法少女、妹」完





「ハッ……!?ん〜……もしかしなくても……夢……?」


見上げたら最早見慣れてきた「リリカルスクール」の私の寮の部屋の天井。

う〜ん……それにしても……何で前世の好きだったアニメの夢を見たんだろうか?前世の世界のホームシックにかかった?


「いや……多分違うわね……」


私はそう確信して呟いた。何故なら明日からは夏休み。明日はステインローズの屋敷に帰省する事になってる。前世は17年。今世はまだ15年で、まだ今世での生活の方が短いけれど、あの屋敷がすでに私の帰る場所になってる事に、私は思わず微笑んだ。


「夏休みは……家族で旅行するのも悪くないかも……」


私はそう呟いて再びベッドに入った。今度は、今世の家族で出かける夢を見られるのを願って……

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