閑話.アリーさんの水泳指導

私、アリー・ステインローズは事前に先生方に私とお姉様だけでプールを使う許可をいただいた。

最初は、カイン王子様達も私達に付き合うと言ってくださいましたが、私がそれを笑顔で一蹴しました。なんせ、お姉様は溺れている自分の姿をあまり他人に見られたくないようですし。まぁ、それは建前で、本音はお姉様の水着姿を私1人でじっくりと堪能したいだけですが……


「うぅ……本当に……入るの……?」


まるで長年の苦手感があるような顔をしたお姉様がプールを見つめています。双子ですからお姉様と私は同い年のはずですが何故そんな顔をとは思いましたが、とにかく、プールに入っていただかなくては先に進めません。


「お姉様!大丈夫です!私がちゃんと手をとってますから!」


私がそう言うと、私が先にプールに入り、私はお姉様に手を差し出した。お姉様は恐る恐る私の手を取り、そして恐々とした様子で片足からゆっくりゆっくりとプールに入っていた。


「アリー。手を離さないでね?」


普段凛々しい感じのお姉様からのそんな言葉に思わずキュンとなってしまう私。色々な感情を必死で押し留め、私はお姉様の水泳指導を開始した。


そして、数時間後……


「見て!アリー!少しだけど泳げるようになったわ!」


その泳ぎはどう見ても犬が水に入った時の泳ぎ方のそれだけれど、お姉様が喜んでるしいいですよね。


「では、お姉様。それでちょっと進んでみてください」


「分かったわ…………って!?きゃあぁぁ!!?」


「お姉様!!?」


10m程進んでお姉様がまた足をもつれさせ、溺れかけたので、私は慌ててお姉様の腰を抱くように支える。お姉様も、私の肩に腕を乗せてホッと安堵した表情をする。


「大丈夫ですか?お姉様」


「えぇ、ありがとう。アリー」


どうやら、お姉様はあの泳ぎで約10m程しか泳げないみたい。完全に泳げるようになるにはまだまだ練習が必要みたいですね。


が、そこで私はハタと気づく。今のこのお姉様と抱き合ってるこの状態に……

お姉様が胸が私の胸と触れ合っている。お姉様の吐息が顔にかかり、くすぐったさを感じる。目の前にお姉様の綺麗なお顔が……自分の心臓が痛い程高鳴っている。この胸の鼓動は……一体……


「ねぇ……その……アリー。そろそろ離れないと……その……」


「……ハッ!?そうですね!?申し訳ありません!!すぐに……」


私はお姉様に声をかけられてようやく我に返り、お姉様から離れようとしてまた気づいてしまう。


「お姉様……今離したら、お姉様また溺れかけてしまいますよね?」


「うっ……!?そうかも……」


「で、今目の前にお姉様がいますから、どうしてもお姉様が溺れかけてしまうお顔を私が見てるしまいますが、お姉様はそれがお嫌ですよね?」


「で……出来れば……」


「…………」


「…………」


「どうしましょう?」


「どうしよう?」


私達は結局抱き合った状態のまま、あまりに遅いから心配して来たヒエンとレイカとキョウカに生暖かい視線を浴びせられる事になる。


そして、事の経緯を説明したら、


「いや、だから……」


「プールサイドに近いコースで練習したのでは?」


「プールサイドまで何mも離れてませんよね〜」


という最もなツッコミを受け、私達は顔を真っ赤にして俯いてしまったのでした。

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