70.バナナの皮はちゃんとゴミ箱へ捨てなさい!

このままだとマズい!?そう思った私は何とか色々言い募ってその場を去ろうとしたのだが、何故か落ちていたバナナの皮を踏んでしまった。


って!?何でプールサイドにバナナの皮があるのよ!?おかしいでしょ!?と心の中でそう思うものの、その踏んだバナナの皮で私は見事に滑ってしまう。

そこからは私にはまるで世界がスローモーションのように感じた。私の身体はゆっくりゆっくりとプールへと誘われていく。そんなスローモーションな中、私の視界にチラッと映ったのが……


「ん〜!今日もバナナは美味しいんだな!」


と、言いながらバナナをモシャモシャ食べてるやたらと猿顔な少年だった。

って!?このバナナの皮の犯人はお前かぁ!!?何で授業中なのにバナナ食べてるのよ!?って言うか!バナナの皮はちゃんとゴミ箱に捨てなさい!プールサイドに捨てるなぁ〜!!


と、色々言いたい事はあったが、結局私がそれを言う事はなく……私はプールへと落ちてしまう。


そして…………



「ガバァ……!?ゴボォ……!?カハァ……!?」


プールへと落ちてしまった私は、必死に沈みたくないともがき暴れる。


「お姉様!!?」


流石の私のこの反応に驚いたアリーはプールに飛び込もうとしたが、それよりも先にレイカとキョウカがメイド服のままプールに飛び込んで、私を支えてプールサイドまで誘導する。そして、プールサイドにいたヒエンが、レイカとキョウカの助けを得て私をいち早くプールサイドまで引き上げる。そして、その後プールから上がってきた2人をヒエンは火の魔法でメイド服を乾かす。私達の専属メイドによる見事な連携プレイだ。


「お姉様!?大丈夫ですか!?」


アリーが物凄く心配そうな表情で私に駆け寄ってくる。


「えぇ……大丈夫よ。キョウカ達のおかげでたす……」


私はいつものように心配させまいと笑顔でアリーにそう応えようとして気づいてしまった。不特定多数の人々に、何より最愛の妹であるアリーに見られたくなかったアレを見られてしまった事に……


「い…………嫌ァぁぁぁぁ〜ーーーーーーーーーー!!?」


私はそれに気づいた瞬間、自分でも分かるぐらい顔面蒼白になり、妙な叫び声を上げ、プールの覗き見防止で作られた高い塀を飛び越えた。魔法を使わず自分の跳躍力で。


「お姉様!!?」


アリーが思わず素っ頓狂な声を上げて私を呼ぶ。


この時の私は冷静さを忘れていたせいで気づかなかった。自分が今水着を着たままだという事実に……


だが、そんな事すら気にも留めずに私はただひたすらに誰もいない所を目指して走り去った。途中、ヒエンとレイカとキョウカの3人が魔法で高い塀を跳躍して、私の後を追う気配を感じたが、半狂乱になってる私はただ走り去るしか出来なかった。水着のままで……

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