65.試験結果

さて、最初の試験が終了し結果が貼り出された。私の順位は…………下から数えた方が早いわね。まぁ、そりゃそうか……実技は結果に反映されないとは言えアレだったし、魔法学は自信満々だったんだけど、かなりバツが多かったのよねぇ〜……何でかしら?


まぁ!私の順位はさておき!今回の試験1位はもちろん!私の最高に最可愛い妹のアリー!!実技も学力もぶっちぎりの1位で文句なしの優等生で可愛いとくれば最早言う事なしね!流石は私の可愛い可愛い最高の妹だわ!いやぁ〜……この1位と貼り出された物を見るだけで、お姉様は誇らしくてご飯三杯はいけるわね!!


あっ、一応他の攻略対象者も軒並トップ10には入ってるわね。ん?そんなの興味ない?そうよねぇ〜。それじゃあ、後もう少し妹の自慢話を……


「お姉様!やりました!私!1位になりましたよ!」


おっと、残念。皆さんに私の妹自慢を聞かせるのはまたの機会にします。今は、この最高に可愛い妹を褒める時間だものね。


「えぇ、よく頑張ったわね。アリー。あなたは私の自慢だわ」


私はそう言ってアリーの頭を撫でる。アリーはそれをくすぐったそうにしながらも喜んで受け入れる。あぁん!もう!本当に可愛いわぁ!うちの妹!こんな可愛い可愛い妹が私の妹になったなんて本当に今でも信じられないわ!本当に妹最高!!!


と、妹を存分に愛でていたのだが、そんな甘い時間は長く続かなかった。突如、妹へのもの凄い敵意の視線を感じた私は庇うように妹を抱き寄せる。


「お姉様……!?」


私が突然抱きしめた事に驚いている様子のアリーだったが、私はそんなのを気にする余裕がなく、アリーへ敵意の視線を向けている者を探す。そして、その人物はすぐに見つかった。


「………………」


それは、エリザベス・マグダエル公爵令嬢だった。まるで射殺さんばかりの目でアリーを睨みつけていた。アリーもどうやらその視線に気づいたのか、エリザベス公爵令嬢の方を振り向く。すると、エリザベス公爵令嬢はキッとアリーを数秒間睨みつけた後、すぐに立ち去ってしまった。思わず私達は深い溜息を吐き出してしまった。


「……エリザベス様……王子様達の誕生日パーティーの日から疎まれてるのは感じてましたが……まさかこれ程までとは思いませんでした……」


アリーは思わずそう呟いた。確かに……いくらアリーのせいで一目惚れしたカイン王子を盗られたからって、あそこまで恨むものかしら?いや、まぁ……それは私は前世の感覚があるからそう思うだけなんだろうけど……


「それに……何故でしょう……エリザベス様から……何か説明しにくいような何かを感じて……」


エリザベス公爵令嬢から何かを感じてるのは、どうやら私だけじゃなくアリーもらしい。その身体はまた、あの悪夢を見たと言って私のベッドに入ってきた時のように震えていた。私は思わずアリーを更にギュッと抱きしめる。


「お姉様……?」


「大丈夫よ。アリー。あなたには私がついてるから。だから、絶対に大丈夫」


私がそう言って笑うと、アリーは安心したのかいつもの可愛いさ100億倍の笑顔を私に向ける。


「はい!ありがとうございます!お姉様!」


うん。今日も私の妹は天使のように可愛い。


「さぁ、今日の授業はここまでだから、早く寮に戻りましょうか」


「はい!お姉様!」


私達は姉妹仲良くお手手繋いで寮に戻ろうとしたのだが……


「待て。アリー・ステインローズ」


急にアリーを呼び止める声が聞こえ、私達は声がした方を振り向くと、そこにいたのはリンクス・ヴァルター。「リリカルスクールラブ」のもう1人の攻略対象者だ。

あっ、妹と一緒に寮に戻るのに夢中になっててすっかり忘れてた……試験結果発表は、このリンクスのイベントの日だったわ……


「アリー・ステインローズ伯爵令嬢!あなたに決闘を申し込む!」


あぁ……ゲームのシナリオ通り……リンクスの初回イベントが始まってしまったわね……

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