58.学園に通う前に添い寝しましょ
「ハッ……!?はぁ……!?はぁ……!?」
最悪な夢を見てしまった……何でよりによって明日からついにリリカルスクールに通うって時に、あんな夢を見るのかしら……いや、もしかしたらリリカルスクールへ通う緊張からあんな夢を見てしまったのだろうか……?
私が見た夢……それはゲームの「私」が罪を犯すあのシーンと、ヒロインであるアリー・ステインローズのバットエンドのシーン……
「リリカルスクールラブ」にはグッドエンドとバットエンドの2つが存在している。グッドエンドは、攻略対象者が、アンナ・ステインローズのナイフを弾き落とし、アリーを見事に救うというものだが、バットエンドだと、アリーはアンナに刺され、どうしたら姉を救えたんだろうと後悔の末に死んでしまうというものだ。
ちなみに、逆ハーレムのバットエンドだとまた違うらしいと、前世の乙女ゲーム友達が言っていたが、私はそのエンドは知らない。逆ハーレムルートまでいってないのか、そうでないのか、その辺の記憶は酷く曖昧なのだ。
とにかく!バットエンドだけにはさせてはならない!絶対に!私は気合を入れ直した。と言っても、私がアリーを傷つけるなんてあり得ないんだけど、なんだか学園に通う日が近づくにつれ、嫌な予感が広がって、言い知れぬ不安が広がっている。
私はその不安を誤魔化す為にも早く寝てしまおうと思い、ベッドに横になろうとした時、扉からノック音がした。
「お姉様。アリーです。入ってもいいですか?」
「アリー?構わないけど……」
私の了承を受けたアリーが「失礼します」と告げて私の部屋に入ってきた。
「どうしたの?アリー。あなたがこんな時間に訪ねてくるなんて珍しいわね?」
「あの……すみません……実は……お姉様に頼みがあって……」
「頼み……?何かしら?アリーの言う事なら何でも聞いてあげるわよ」
そう。それこそ、今から魔物退治してこいという頼みでも……いや……この時間だとそういう類の魔物が多いから勘弁願いたいけど、いや、それでも最愛の妹のアリーの為ならば……!
「はい……その……あの……お姉様……今晩……一緒に寝てくれませんか?」
「えぇ、もちろんあなたの頼みなら喜んで…………って、はい!!?」
私はアリーの頼みを聞いて思わず条件反射で了承したけれど、ちょっ!?それは流石に色々マズいわ!!?主に私の理性的な何かが!!?
けど、私の了承の言葉を聞いたアリーは喜び勇んで私のベッドに入り、私の隣で横になる。いやぁ〜……流石は伯爵令嬢の家のベッド。2人入っても大丈夫ね〜……って!?そこに感心してる場合じゃないでしょ!!?私!!?これって伝説のイベント添い寝ってやつよね!!?
先程の悪夢で色々不安にかられてたけど、もしかしたら明日死んでるかもしれない不安にかられる私であった……
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