57.ただ助けたい一心で……

どうして……私はこんな力を持って生まれてしまったんだろうか……?



「あの……!お姉様……!」


「近寄らないで!私に関わらないでって言ってるでしょう!!」


あの日、あの魔力検査以来、お姉様と会話らしい会話を交わせなくなってしまった……


どうして……こうなってしまったんだろう……



「大丈夫さ。アリー。今、アンナは色々と神経質になってるだけさ」


「そうよ。また前のように仲良し姉妹に戻れるわよ」


お父様とお母様はそう言って私を慰めてくれるけど、本当にそうだろうか?


「アリー様は優秀な力を持ってるというのに、あの姉ときたら……」


「お姉様の悪口を言うのはやめてください!!」


「アリー様……!?申し訳ありません!?」


「アリー様はあんなにお優しいのに、どうしてあの方はあぁなのかしら……」


私がお姉様の悪口を言う人を注意しても、無くなるどころかお姉様の悪口はだんだん増えていく……


そして、お姉様はますます家で孤立していく……


一体……私は……どうすれば良かったの……?



「またアリー姉さんがあの人に虐めを受けたんだ!」


「アリー。私は君の婚約者だ。辛いならいつでも言ってきてくれ」


「俺も、一応あいつの婚約者として一言言ってやるつもりだ」


「私も微力ながら力になりますよ」


義弟に王子様達に現宰相の息子……私の周りにいる人は私の味方をして、お姉様の味方をしてくれる人は1人もいない。

これ以上お姉様を孤立させないように黙っていたらこうなってしまった……


どうして……?どうしてなの……?どうすれば良かったの……?私は一体どうしたらお姉様を助けられたの……私はただ……昔みたいに姉妹仲良く暮らしたいだけなのに……




「あなたなんて産まれてこなければ……!あなたさえいなかったら……!私はこんな惨めな想いをせずに済んだんだ……!!」


ナイフを持ったお姉様が激昂して私に告げる。


あぁ……そうか……そうだったんだ……私は生まれてこなければ、お姉様は苦しまずに済んだのね……



私は、ナイフを持って突撃するお姉様を受け入れた。



あぁ……これで……お姉様は……救われる……のね……けど……もし……もし……叶うなら……私は……もう一度……ちゃんとやり直したい……お姉様と仲良く姉妹で暮らしていけるように……もし……あの時を……戻せるたなら……



ソノ望ミ叶エテヤロウ……





「ハッ……!?はぁ……!?はぁ……!?夢……!!?」


私は酷く嫌な夢を見て飛び起きた。けれど、夢の内容は覚えていない。いや、思い出したくないだけかもしれない。


心臓がバクバクと音を立てて止まらない。息が苦しくて、荒い深呼吸を繰り返している。もうすぐ春とはいえ、夜は肌寒い季節なのに、背中が汗でびっしょりとなってる気がする。


「……お姉……様……」


私は大好きなお姉様を思い出しそう呟いた。いつでも、私第1主義で動いてくださるお姉様。誰よりも美しくて、強くて、カッコいいのに、時々弱い部分が出て、そこがまた愛らしい私のお姉様……


「ッ!!?」


そんな大好きなお姉様を思い出していた時、酷い頭痛が私を襲った。その時、私の脳裏に先程の夢の記憶が目覚める。私のお姉様と姿は一緒なのに、私に憎悪の視線をぶつけてくる私のお姉様……


「ッ!!?違う!!」


私が叫んで否定しても、それこそがお前の本当の姉だと、私の中にいる誰かが告げている気がした。


私は最早衝動的にベッドから飛び出して、部屋の扉を開けてお姉様の部屋へと向かって行った。

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