56.広がる悪意
憎い……!憎い……!あの娘が憎い……!!
「魔力数値……計測不能!!?魔力属性は全属性!!?」
「凄い!これは凄い才能の持ち主が現れたぞ!?」
「お姉様!やりました!これで私もお姉様と同じ学園に……」
バシンッ!!
「お……お姉様……?」
「やめて!?触らないで!?私に近づかないで!!?」
憎い……!憎い……!憎い……!私よりも優れた才能があるあの娘が……!?
「アリー様がいればステインローズ家も安泰ね!」
「それに比べて双子の方の姉ときたら……」
「やめましょう。そんな事を言ったらご主人様の不興をかうわよ」
「…………」
憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!あの娘がただ憎い……!
「大丈夫だよ。アンナ。アンナも私達の大切な娘さ」
「そうよ。だから、気にしちゃダメよ」
やめて……!?そんな哀れみなんていらない……!!?どうせお父様も!お母様も!あの娘が大事なんでしょ!?
「すまない。君との婚約を解消したいんだ」
「なっ!?なんで!?どうして!?あなたは私を気に入って婚約してくれたのでは!!?」
「いや、これは親同士が決めた婚約なんだ。俺には他に好きな人がいる。だから、そんな気持ちを持ってる俺が君と誠実に付き合う事など出来ない……」
「そんな……!?まさか……!?その好きな娘はアリーですか!!?」
「すまない……」
あぁ……!?アァ……!?憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!憎い……!!!!
ここ、マグダエル公爵家の屋敷の一角でも、その黒い悪意がひしめいていた。
「何故……!?私の方が先にカイン王子と出会ったのに……!?」
マグダエル公爵家の一人娘であるエリザベス・マグダエル、彼女の瞳には憎悪の炎が燃えていた。
「何故……!?たかが魔法が強いというだけの伯爵家の娘が……!?絶対に……!絶対に認めない……!カイン王子に相応しいのはこの私なのよ……!!」
エリザベス公爵令嬢の憎悪の炎はますます燃え上がる。
その炎はやがて、伯爵家の双子姉妹に飛び火していく……
憎い……!憎い……!あの娘が……!?アリーが……!?私の全てを奪うあの娘が憎い……!!?
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