閑話.首謀者断罪 前編

ステインローズ伯爵家の執事ロバートは薄く笑っていた。自分が指示をした者達は恐らくなんらかの処罰はあるだろうが、ステインローズ家の為になるならそれも誉れというものだろう。


ロバートは次期ステインローズ家の執事になったのを誇りに感じている。故に、アリー様と次期国王になると噂されているカイン王子との婚約は上手くいくべきだと思っている。

が、2人が国外で有名な夫婦になるアピールを、あの姉のくだらないワガママで邪魔されてしまった。これは執事として務めていたが故に分かった事だが、あの姉妹2人は仲が良すぎる。あの2人の仲を進めるのはステインローズ家の為にならないとロバートは判断した。


だから、ロバートは決断した。深夜にアンナが手作りサンドウィッチを作るのを目撃したので、自分の部下の執事に


「あのバスケットに入ってるサンドウィッチをアリー様に食べさせる事があったら全力で阻止しろ。それに毒が入ってる可能性がある」


と、指示をした。従者達のアンナへのイメージが最悪な事もあり、部下の執事達はその言葉をすんなりと受け入れた。


今頃は、自分の部下が2人の邪魔をしているはずだ。2人が過度に仲良くなってはいけない。特にアリーは次代の王妃になる方だ。これも全てはステインローズの為だと、ロバートはそれを疑わなかった。


コンコン!


ふと、自分の部屋のドアをノックする音が聞こえ、ロバートは入室を許可すると、2人のメイドが入ってきた。その2人のメイドは、アリーの専属メイドのヒエンとレイカだった。


「ロバート様」


「ご主人様がお呼びです」


ふと、アリー様の事か?と思ったが、よく考えたらアリーはまだ帰ってきていないので違うなと思い、この場合、ご当主様かと思い至り、「すぐ行く」とだけ伝えると、2人は会釈をして退室した。


アルフが自分に一体何の用だろう?と思いながらも、ロバートはアルフのいる書斎まで行き扉をノックした。


『入れ』


「失礼します」


部屋からアルフの入室の許可が聞こえたので、ロバートはさっそく入室をすると、そこにはアルフと、その奥方であるクレアが、冷たい眼差しでロバートを睨んでいた。


「ロバート。何か弁明する事はあるか?」


入室早々に、ロバートはアルフにそう問われた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る