閑話.首謀者断罪 後編

いきなり呼び出され、弁明する事はないかと問われ戸惑うロバート。特に弁明しなければいけない事に心当たりは無かった。


「心当たりがないという顔をしているな……」


アルフは軽く溜息をついてそう言った。すると、アルフの書斎に新たな入室者が現れた。


「失礼します。アルフ様。彼らが全て白状いたしましたよ。そこのロバートに指示されて、お嬢様達の事を邪魔するように言われたと……」


新たな入室者はアンナ専属メイドのキョウカだった。そのキョウカが、ロバートが2人の邪魔をするように指示した執事達を放り投げるように入室させた。執事達は縄でグルグル巻きにされ、憔悴しきったような顔をしていた。

ロバートはここにきてようやく、自分が何の弁明を求められているのかを理解し、顔を真っ青にしてアルフに言い募ろうとしたが


「あぁ、ちなみに彼らにはマリオンに頼んで自白の魔法をかけた。よって、何かの魔法で操られているという可能性はない」


ロバートが何か言う前にアルフが冷めた眼差しでそう言ったので、ロバートは押し黙るしか出来なかった。

しかも、マリオン……王宮に仕える魔術師であり、魔法省のトップの1人がちゃんとその術をかけたとあっては、最早反論する余地もない。


「ロバート。お前も勘違いをしていた人物だったとはな……」


「勘違い……?」


「私は、娘2人と妻が幸せなら、ステインローズ家が取り潰されようと一向に構わないんだよ」


「んなぁ!!?」


まさか、現ステインローズ家の当主がそんな発言をするなんて、驚きで若干固まるロバート。


「まぁ、かと言って……娘2人が仲良く暮らしていくにはステインローズという家は必要だ。故に、ケインを引き取ったに過ぎない」


更にアルフの衝撃発言は続く。ケインを引き取った理由が、2人が王子の婚約者に選ばれて家を継ぐ者がいなくなったとかの理由でなく、2人が暮らす為の家を存続させる為だったとは……


「正直、2人の王子との婚約もさっさと破棄してしまいたい。どこの馬の骨に可愛い可愛い娘達をとられてしまうより、2人が仲良くなり結婚でもして幸せに暮らしてくれた方が100億倍マシだ」


ロバートとて、何年もアルフと接してきたので、アルフがとんでもない親バカなのは分かっていた。が、まさかここまでの親バカだとは信じられなかった。しかも、クレアも同意するように頷いていた。


「さて、そんな可愛い娘達に危害を加えたお前達をこの家に置く訳にいかない。お前と実行した執事達はグランマーズ男爵家に仕えさせる事とする」


「なっ……!?それだけはご勘弁を……!!?」


が、それ以上聞く耳持たないと言わんばかりに、アルフはロバートに背を向けた。ひたすらロバートは慈悲を願ったが、キョウカに引きずられるように、部下達と一緒に退室させられた。


ロバートがここまで嫌がるのには理由があった。グランマーズ男爵家は、従者に拷問のようなお仕置きをするので有名な家だからだ。

そんな家、すぐに告発されてお取り潰しになりそうなものだが、この家が問題にあげられないのには理由があった。それは、この家に連れて来られた従者達が、何らかの罪を犯したか、主人の不興をかったかで連れて来られた者ばかりだからである。故に、グランマーズ男爵家はこう呼ばれていた。


「従者のお仕置き部屋」と……




「セバス。お前が隠居生活を送るのはまだまだ先になりそうだな」


アルフは傍に控えていた老執事にそう言った。


「ロバートの奴も……もう少し家の者を見極める目があれば私に代わる執事長になれたものを……本当に残念です」


老執事セバスは特に残念そうな顔もせずにそう言った。

このセバスは、アルフの父の代からずっとステインローズ家の執事長を務めている生きた伝説執事である。しかも、アルフが子供の頃からずっと変わらずご老体であったという、アルフにもよく分からない謎多き人物である。


「これからもステインローズ家の執事長として励んでくれ」


「畏まりました。アンナ様やアリー様が作り出すステインローズ家も楽しみですし、老骨に鞭打って励みましょう」


セバスは愉快そうに笑ってそう言った。

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