閑話.どっちが彼女の本当の姿なのだろう

アンナとアリーは「おばけ屋敷」を出て再び行動を開始した。それを追うようにカイン王子達も2人について行くように行動した。

ふと、そこでまたカイン王子は呟いた。


「彼女はあんな人だっただろうか……?」


カイン王子の呟きに義弟のケインも現宰相の息子のグランも黙ってしまう。2人も同じことを思ったからである。彼女とはもちろんアンナの事だ。


「ケイン。彼女がおばけの類が苦手なのを知っていたか?」


カイン王子はアンナの義弟であるケインにそう聞いた。しかし、ケインは困ったように頰をかいた。


「いいえ……その……失礼な言い方になりますが、もう1人の姉には興味がなく……それに……」


「それに……?」


「彼女は自分の専属になったメイドに暴力をふるっているという噂があって……避けていたと言いますか……」


ケインの話を聞いてカイン王子とグランは「まさか……そんな噂が……」と唖然とした表情になった。

と、同時に先程普通の少女に怖がっていたアンナの姿と、専属のメイドに暴力を振るうような悪い噂が絶えないアンナの姿。どっちが本当の彼女の姿なんだろうと……



しかし、ヴァン王子はどっちも彼女の本当の姿だと分かっていた。いや、おばけが苦手なのは知らなかったので、いつもの姿と違う彼女を見て驚いたが……


ヴァン王子にはアンナはキョウカの事を説明した。彼女は自分に叩かれて悦ぶ人間だと。最初こそ、そんな訳ないと思っていたが、実際叩かれたキョウカの姿を目撃したヴァン王子はこれは本物だと認識した。

けれど、そのせいでまたアンナの悪い噂がたって、ヴァン王子はちゃんと訂正したらどうだとアンナに提言したのだが……


「今更うちで働く従者が私の言葉なんて信じるとは思えませんし、それに、私が悪い奴だと広まれば広まる程色々利用出来ますでしょ」


と、ニッコリと微笑みながら言ったのを見てヴァン王子は薄ら寒さを覚えていた。この歳でそんな考えが出来るなんて信じられないと……


だから、ヴァン王子はおばけを苦手とするアンナを見て、驚くのと同時に嬉しかった。彼女にも、普通の少女らしい一面があったのだなと……

普段、妹を守る為に自分を犠牲にしてでも行動を移すような彼女だからこそ、ちゃんと普通の少女の一面があったのに、少し安堵したヴァン王子だった。

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