43.トラウマというのは前世から根深くついて回るもののようで……
「おばけ屋敷」を出て、冷静さを取り戻した私の気持ちは……
「死にたい……」
だった。
ひたすら怯えて泣け叫び、挙げ句の果てには、恐怖で若干幼児退行して、妹に甘えて、妹の手をぎゅっと繋ぐは、妹の腕にすがりつくは……よく見たらアリーの綺麗なお手手は私の手の跡がくっきり残っているし、服は私がすがりついたせいかシワシワのヨレヨレに……
うん。これは死ぬべきね。私は目の前にある木にロープを出現させ、そのロープを使い自分の首を吊ろうと……
「わあぁぁぁ!!?お姉様!?一体何をしてるんですか!?おやめください!!?」
したところでアリーに止められてしまう。
「離して!?アリーに迷惑をかけてしまったわ!?私はもう姉失格なのよ!?だから!死んだ方がいいのよ!!」
「お姉様!!大丈夫です!迷惑なんて思ってませんから!?むしろ役得……コホンコホン!とにかく!迷惑なんてこれっぽっちも思っていませんから!馬鹿なマネはおやめくださいませ!!!」
私が死のうとするのを、アリーが必死に宥めて止めた。うぅ……こんな優しい妹に迷惑をかけるなんて……やっぱり死んだ方が……
「やめてください」
アリーに迫力ある笑顔でそう言われてしまった。うちの天使で可愛い妹はどうやら私の心の声が聞こえるみたいだ……
そもそも、私には前世から苦手とするものが二つある。その内の一つがおばけだ。これだけ私がおばけを苦手とするには理由がある。
それは前世、わたしがまだ幼稚園児だった頃、何故か園内で肝試し大会をすることになった。今にして思えば、何故幼稚園で肝試しなんだと思うのだが……
とりあえず、園児でおばけ役でおどかすチームと、肝試しする側に別れて、私は見事に肝試しする側になってしまった。
これも、何故か不思議なのだが、肝試しは2人1組でやるルールだったのに、その日たまたま1人休みだった為、私は1人で肝試しをするハメになった。これもよく考えたらおかしな話なんだが、本当にそうなってしまったから仕方ない。
私はビクビクしながらも、ゆっくりゆっくり歩いていった。が……
「うらめしやあぁ〜!!!」
「きゃあぁぁぁ〜ーーーーーーーー!!?」
突然現れたおばけ役の子に驚いて私は悲鳴をあげてしまう私。まぁ、正直これだけ終わるなら、私はあれほどおばけを苦手としなかっただろう。問題はここからだ。
私は…………その時ビックリしてお漏らしをしてしまったのだ。しかも、それに気づいたおばけ役をしていた男の子が……
「あぁ〜!コイツ!怖くてお漏らししてる!ダセぇ〜!」
と、ゲラゲラと笑われたのである。私はそれはもう泣いた。先生にどれだけ慰められて、着替えをしても、ひたすらに泣き続け、私は家に帰って大好きなアニメを観てようやく泣きやんだ。思えば、この時から私にはオタク体質が芽生えていたのかもしれない。
しかし、その一件以降私はおばけが大の苦手になった。おばけ関連のを見ると、あの時の事を思い出してしまう。
だから、オタクでありながら私は夜は早めに就寝するのが習慣になったし、トイレも決まった時間に行くようにして、二度と漏らさないように気をつけていた。おかげで、私の昔の出来事を知らない友人からは頻尿の疑いがかけられたが、お漏らしするよりも病気の疑いをかけられた方が何百倍もマシだ。
もちろん、アニメやゲームや漫画などもホラー系は絶対にやらない。時々、おばけ屋敷のシーンとかあったりしたけど、ゲームならスキップ機能を、漫画やアニメ等なら逐一覚悟しながら見るようにしていた。
それぐらい私はおばけが大の苦手……それを……まさか溺愛する妹に知られてしまうなんて……いや、まだもう一つの方の苦手を知られるよりはマシなんだけど……
っていうか……誰よ……「おばけ屋敷」なんて傍迷惑なものを作ったのは!!?
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