42.これはお姉様を守る為であって決して邪な気持ちはございません

私はお姉様にある疑惑を抱いていました。その疑惑は…………お姉様もしかしておばけが苦手なのでは?です。


その疑惑が浮上したきっかけは、お姉様がノイエル町を興した時からでした。お姉様はノイエル町でマダムAとして、町の復興に尽力されてましたが、必ず夜遅くならないように帰宅されてました。

もちろん、お父様やお母様や私にバレないように(実際は私だけでなくお父様やお母様にもバレバレなのですが)早めに帰るように心がけてるのもあるのでしょうが、それでも何故か違和感を感じて仕方ありません。


更に、疑惑を極めるきっかけとなっているのは、お姉様のトイレに行かれる回数です。食後・湯浴み後・寝る前に必ずトイレに行かれるのです。

お姉様のトイレ事情を何故把握してるんだと白い目で見てるそこのあなた。勘違いなさらないでください。本当にお姉様は決まってその時にトイレに行かれるので、お父様やお母様ですら知ってる事実なのです。


で、更に確定的な事実なのですが、お姉様は夜祭りなどには絶対行きたがらないのです。家族みんなで夜祭りに行こうと以前誘った時に、「気分が悪いので、3人だけで楽しんできてください」と断られてしまいました。お姉様を置いて行く訳にいかず、結局はその夜祭りに行く話はなくなりましたが、お姉様はあの時の夜祭りだけでなく、夜に行われるような行事にも参加されないのです。


これらの数々のきっかけを得て、私はお姉様が何かを避けているのでは?と思うようになり、夜に避けるものと言えばと考えて、お姉様はおばけが苦手なのでは疑惑をもちました。なので、本日それを確かめるべく、最近出来たという「おばけ屋敷」に足を運んだ訳です。


え?何のためにそんな事をするのかって?ほら、お姉様の苦手なものを知っていれば、いざという時に私がそれらからお姉様を守る事が出来るじゃないですか。そう。これはお姉様の為なのです。決して、恐怖で涙ぐむお姉様が見てみたいとかそんな邪な気持ちはありませんよ。決してね。




で、結局私の疑惑というか予想は当たっていました。それも予想以上に……


「わきゃあぁぁぁ〜ーーーーーーーー!!?」


「ひにゃあぁぁぁぁ〜ーーーーーーーーーーーー!!?」


「ぴえぇ〜ーーーーーーーーーーんッ!!?」


おばけに扮した人が私達をおどかしたり、お姉様の首すじに水滴が当たったり、何もしてないのに、ちょっと音がしただけでお姉様は涙目になり叫び声をあげていました。

普段はとっても凛々しく私を見守ってくださるお姉様が、今涙目になってプルプル震えてすごく可愛い♡……コホン。失礼。今のは忘れてください。


それにしても、予想はしていてましたが、まさかここまでとは……これはこれでなんともそそられ……コホンコホン!ではなく!この状態のお姉様を放っておくわけにはいきませんね。


「お姉様!大丈夫ですよ!所詮は人が作った偽物なんですから!ほら!私が手を繋いでてあげますから!ね?」


私はお姉様の手をぎゅっと握ってそう言いました。うん。まさに役得……コホンコホン。失礼。今のも忘れてください。


「……本当……?てぇ……つないでてくれる……?」


涙目になりながら私を見つめてくるお姉様がすごく可愛い♡可愛い♡可愛い♡ちょっとイタズラ心で手を離したい心がムクリと湧き上がってきましたが、今のお姉様は恐怖で錯乱状態ですから、そんな事をしてはいけませんね。


「はい!ちゃんと!それはもう死ぬまで繋いでいますよ!」


「うん!ありがとう!アリー!」


私の言葉にお姉様ようやく笑顔になってくれました。というより、お姉様……恐怖で若干幼児退行してません?まぁ、とっても愛らしいので構わないのですが……

とにかく、私達は手を繋いでおばけ屋敷から出る為に歩き出しました。


「うわあぁぁ〜!!!」


「ひぎゃあぁぁぁぁ〜ーーーーーーーーーー!!?」


ゾンビに扮した人が現れ、お姉様は叫び声を上げ、私の腕にしがみつく。その際に、私の腕にお姉様のとってもよく育った二つの胸の感触がたまらな……ゴッホン!失礼。今のは絶対に忘れてくださいね。


とにかく、結論から言わせていただくと……「おばけ屋敷」ってとっても素晴らしいですね♡

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