41.逃げたい!?ものすごく逃げたい!?が、逃げられない!!?
なんだかドッと疲れてしまった……
私は「シーカーブランド」で色々着せられてげんなりしていた。何故か隣の愛らしい天使のような妹はご満悦な表情なのだけれど……
いや、私も最初は妹の新たな魅力発見にワクワクしたもんだけど、その後の私が着替えさせられた服が……普段私が着るのに抵抗ある服ばかりで……店員も私の可愛い可愛い妹も似合うと言ってはくれるのだが……果たしてどうなのだろう……
その後も、私達をプロデュースしてくれた店員さんが、さっき着せた服は全部無料で差し上げますとか言われ、一悶着あったけれど、店のオーナーさんらしき人に……
「あの……どのみちこの服全部持って歩けないんで、この服全部ステインローズ伯爵家までお願い出来ますか?ちなみに、支払いもそこで……」
と、そっと耳打ちした。オーナーさんは私達が貴族令嬢だと最初から見抜いていたのか、特に驚きもせずに私の言葉に了承してくれた。
こうして、特に買うつもりもなかった服屋での買い物は終わった。本当……どうしようか……私用の服……絶対着る機会なんてないんだけど……
まぁ……とりあえず一旦気持ちを切り替えて……
「それで、次はアリーの行きたい場所に行きましょうか」
「はい!お姉様!こっちです!」
アリーはニコニコ笑いながら私の手を繋いで案内してくれる。そんな天使のような妹の手の柔らかさに、私はものすごく癒されて、先程の着せ替えさせられた時の気持ちが消えていった。
が、人生楽ありゃ苦もあるさと言う通り、楽しい時間はあっという間に苦しい時間に変わるものであると、この時の私は実感した。
「えっと……ねぇ……アリー……ここが……本当に……アリーの来たかった場所……?」
「はい!最近流行りの場所だと聞いて来てみたかったんです!」
意外にもうちの妹はミーハーだった。
しかし……ここが……最近流行りの場所って……どう見てもボロボロな廃墟のような洋館で……いかにも何かが出そうな感じのする……コレは……
「最近出来たばかりの「おばけ屋敷」ですよ!お姉様!」
うちの天使みたいな妹がにこやかに説明してくれたが、すでに洋館の前に、「おばけ屋敷」と書かれた看板があるので分かりますよ。アリー。
うん。待って。何でこの世界に「おばけ屋敷」なんてあるの!?そんなのゲームにはなかったよね!?何でこんなアトラクションが出来ちゃったの!?意味分からないよ!?しかも!?何でコレが最近流行りの場所なのよぉ〜ーーーーーー!!!!?
ダメだ。全身がガクガクと震えてるのが分かる。行ってはダメだと全身が拒絶している。逃げないと……!なんとかアリーを言いくらまして逃げなきゃダメだと脳が訴えてきてる……!逃げなきゃダメだ……!逃げなきゃダメだ……!逃げなきゃダメだ……!
「あっ、お姉様!次は私達の番みたいですから行きましょう!」
私の可愛い可愛い愛らしい天使のような妹が笑顔で私の手を繋ぎ、私を「おばけ屋敷」へと誘ってくれた。
あっ……ダメだ……これは……逃げられない……
ここから……私の地獄が始まるのだった……
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