39.天使のような妹のイメージカラーを白だと勝手に思い込んでいた自分を殴りたい

「どうでしょう?こちらの衣装は?」


店員さんが笑顔でそう言って問いかけてきた。が、私は絶句して言葉を失っていた。

けれど、それはその服があまりにも似合わないとかそういう類の絶句ではない。


アリーが店員さんにすすめられて着た服。それは……漆黒のゴシックロリータ調の服だった。


私はそれを見た瞬間に雷にうたれたような衝撃を受け、同時に、自分の勘違いを殴り飛ばしてやりたくなった。


天使で!女神で!愛らしくて!美しい妹に似合う服と言ったらやっぱり白!アリーのイメージカラーと言ったらやっぱり白よね!と思っていたし、今でもそう思って、先程自分で服を選ぶ時も白を中心に選んでいた。


しかし!それは!愚かな私の勘違いだった!?この素晴らしき妹なら!白のイメージカラーとは真逆の黒でも全然似合う!!むしろ!天使な妹がちょっと小悪魔チックなのがなおいい!!


「あの……お姉様……?やっぱり似合いませんでしたか……?」


ハッ!?あまりに妹と黒色のコントラストの素晴らしさに思わずトリップしかけたけれど、ちゃんと言うべき事を言わないといけないわね!


「そんな事ないわ!?アリー!とてもよく似合ってるわよ!それと!店員さん!ナイスチョイスありがとう!!」


私は妹を褒めた後、私に妹の新しい世界を教えてくれた店員さんの手を握って感謝を示す。


「ありがとうございます。まだ、色々ございますから見ていかれますか?」


「はい!もちろん!!」


それから、モデル妹によるファションショーが始まった。様々なドレスやワンピースを着るアリー。その色は黒などダークカラー系ばかりだったが、それら全て似合っていて、私の妹道はまだまだ浅はかであったと実感するものだった。最後のトドメと言わんばかりのメイド服には思わず気絶しかけた。


「アリー!やはりあなたは最高よ!全部似合っていたわ!」


「ありがとうございます。お姉様。では、次は私のターンですね」


ん?アリーのターン?ドロー?って違うわね……アリーのターンって何の事かしら?


「店員さん。私達2人のコーディネートするとおっしゃっていたからには、当然お姉様のコーディネートも用意されてるんですよね?」


「はい。もちろん。むしろこっからが本番のようなものです」


へっ?私?いや……私は服に拘りないし、妹鑑賞出来たからもうお腹いっぱいなんだけど……


「ちなみに……」


店員さんが私に耳打ちしてきた言葉に私は驚愕する。


「ちょっ!?何で私のスリーサイズを!!?」


「長年の服屋店員を務めてきた者ですから。さぁ、では試着室へとどうぞ」


「えっ!?いや……ちょっ!?まっ……!?」


私の制止も虚しく、私は半ば強引に試着室に押し込まれてしまった。


なんだろう……とても嫌な予感しかしないんだけど……

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