35.監視者達

「ごめんなさいね。アリー。私のせいで結局お出かけする時間削ってしまって……」


「気にしないでください。お姉様。時間はまだだいぶあるのですから」


そんな会話をしながらステインローズ伯爵令嬢姉妹は仲良く王都散策をしていた。ちなみに、「お姉ちゃん」呼びはアンナが耐えれるようになるまで禁止にしたらしい。

そんな2人を複数の目が見つめていた。それは……


「今のところ、特に異常はありませんね」


「だが、何があるか分からない。警戒は怠るなよ。グラン。ケイン。」


「分かりました。カイン王子」


それは、グランとカイン王子とケインだった。そして、もう1人……


「お前達は一体何をやってるんだ……?」


ヴァン王子が呆れた溜息をついてそう言った。


「というか……兄上は隣国のパーティーはどうしたんだ……?」


「あぁ、それなら、父上が急に自分と母上だけで出席するからお前は大丈夫だと……何故か疲れた顔で言われたな……」


カイン王子は自分の父であるアスラン陛下に呼び出された事を思い出しながらそう答えた。

彼らは知らない……アリーのパーティー欠席をアルフが散々アスラン陛下を脅してもぎ取ったのを……カイン王子まで欠席にしたのが、アルフへのちょっとした意趣返しだったりするのを……


「なるほど。しかし、何でこんなコソコソ後をつけるようなマネを……?」


「いや……王都とは言え、最近何かと物騒ですからね……」


「そうだね。それに、アンナ嬢はアリーを疎んでるという話だし……」


「姉を守るのは義弟として当然の義務です」


と、三者三様の意見が出たが、ヴァン王子には同じ人に恋する者同士、3人の心内を正確に見抜いていた。

どんな時でもアリーを見ていたいというのと、自分達と一緒に出かけるよりも楽しそうにしているアリーを見て、アンナに嫉妬しているのだろうと……


ヴァン王子は溜息をつきつつ、とりあえずこの3人が下手な行動して、アンナに牙をむかれる事ないように見張る意味で、3人に同行する事にした。


いつものアンナなら、4人の存在にはいち早く気づいていただろう。だが、アリーとのお出かけに頭がいっぱいのアンナには4人の存在には全く気づけなかった。それは、アリーも同様である。


更に、4人以外の複数の視線がある事にも……

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