34.「お姉ちゃん」呼びは世界最強の武器だと改めて認識しました
「ねぇ、キョウカ。私の格好おかしなところないかしら?」
「もう何回目ですか……お嬢様。少なくともフルプレートアーマー着るよりは大幅にマシなので大丈夫ですよ……」
私は今日何回目か分からない確認をキョウカにした。何度もフルプレートアーマーを着るべきだと打診したのだが、キョウカに何度も却下され、結果、今流行りの王都の民が着てるという衣装を身にまとっているが、やはり不安だ……やっぱりフルプレートアーマーが必要なんじゃ……
「はいはい。お嬢様。早くしないとお出かけする時間がなくなって、お出かけ自体が無くなるから、さっさとその格好で行ってくださいね〜」
私はキョウカに無理矢理背中を押され、屋敷の入り口前まで連れてかれた。仕方ない。いざとなったら異空間にしまってある魔剣を使いましょう。
そうして、キョウカと一緒に入り口の扉の前で待つ事数分……
「お姉様!すみません!お待たせして申し訳ありませんでした!」
現れたのは……お忍びのお出かけというのもあって、今回は私と同じく王都民の女の子が着るような服を着た私の可愛いらしい天使すぎる妹!!うちの妹……天使可愛いすぎる……
フラァ〜!ガシッ!!
「お嬢様。まだお出かけ始まる前から気絶しないでくださいね〜」
気絶し倒れそうだった私をキョウカは支えてくれた。ハッ!?そうね!確かにこんなところで倒れてる場合ではなかったわね……危ない危ない……キョウカには本当に感謝だわ……
「ありがとう。キョウカ。アリー。そのお洋服とてもそれは物凄く似合ってるわよ」
「ありがとうございます!お姉様もお洋服、とってもお似合いで、私が横に並んでもいいのかと思ってしまうぐらいです!」
「うふふ……アリーったら大げさよ」
と、私達が仲良く姉妹会話を楽しんでる横で……
「ちなみに、アリー様は本当はお洋服何を着てこうとしましたか?」
「フルプレートアーマーを……」
「今朝方まで着ていこうとしてましたね……」
「やっぱりそっちもですか……」
などと、専属メイド同士の会話をしていた。一部変な会話が聞こえたけれど、きっと幻聴ね。
「あっ、そうです。今日はお忍びで王都の町を散策するなら、お姉様呼びはマズいですよね……」
うむ。確かにアリーの言う事は最もだ。「お姉様」なんて、王都の一般市民の姉妹は使わないだろうから、高貴な身分ってバレてしまうわね……
「なので……今日はお姉ちゃんって呼ばせていただきますね!」
お姉ちゃん……お姉ちゃん……なんだろう……この胸撃たれる甘美な響き……あぁ……お姉ちゃん……その呼び方は世界最強の武器なのかもしれない……
ヒュ〜!バタン!!
「あっ、しまった……」
「お姉様!?じゃなくてお姉ちゃん!?大丈夫ですか!!?」
結局、私はアリーの「お姉ちゃん」呼びにやられて気絶したのだった。まぁ、いつもの事よね……
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