33.姉妹仲良く出かける時の服装はフルプレートアーマーで
お姉様の告白に私は答えられず固まってしまう。そう……そうよね……これはお姉様からの愛の告白よね?もちろん返事は「喜んで」だけど、お姉様からの愛の告白の返事がそんなシンプルではいいのかしら?あんな情熱的な告白をいただいたのだから、しっかりとした返事を返さなくてはダメよね……
と、私が頭の中で色々巡らせていると……
「クレア。私は今から王城へ行き、2人の婚約を解消するように陛下を脅し……頼んでくる」
「分かったわ!だったら私は式場の手配をするわ!知り合いの神父さんがいるから、きっと話せば2人の為に式を開いてくれるはずよ!」
「頼んだ。では、行ってくる」
お父様が陛下に婚約を解消するように言いに行き、お母様は式場の手配をしてくださいるみたい。流石は私のお父様とお母様!こんな時はとっても頼りになりますわね!
「ちょっ!?待ってください!?お父様!?お母様!?何をなさろうとしてるのですか!!?」
さっきまで何やら頭を抱えていたお姉様が、お父様とお母様の行動を止めにはいる。えっ?お姉様……何故そんな事を……しかし、そんなお姉様に……
「アンナ嬢……」
「これは一体どういう事なのか……」
「説明してくださいますよね。アンナお姉様」
カイン王子とグラン様と義弟のケインがお姉様の前に立ち塞がり、お姉様に威圧の笑みを浮かべる。お姉様はそれを受けて萎縮してしまう。ちょっ!?私のお姉様になんて事を!!?私がお姉様を助けるべく動き出そうとしたが、それよりも先に……
「皆!落ち着け!アンナは言い間違えただけだ。アンナ。ちゃんと事の経緯を説明しろ」
ヴァン王子がこの場騒乱を諌めた。そう言えば、ヴァン王子は1人だけ冷静でしたから、お姉様の言動について何か知ってるのかしら?お姉様はヴァン王子に促され、おずおずと事の経緯を説明してくださいました。
お姉様曰く、今回のおねだりはあくまで「私と一緒に姉妹仲良く出かけたい」との事。ただ、お姉様は誰かを誘った経験がない為、緊張しすぎて先程のような言い間違えをしたようである。お姉様ってば!なんて可愛らしいのかしら!!
しかし、お姉様は私と一緒に2人で出かけた事がないから一度はしてみたいというお話でしたけど、そんな訳ありませんよね?私達は仲良し姉妹なんですから、一緒に出かけた経験ぐらい……ないッ!!?
そこで、私は自分がお姉様と一緒にお出かけという甘美な経験を一度もしていない事実にその場で膝をついた。そんな……こんなにも……お姉様の姿を観察し続ける程お姉様大好きなこの私が……お姉様と出かける事をしていないなんて……!?なんたる不覚……!!?
「ア!?アリー!!?もしかして……そんな風になるまで……私と出かけるのが嫌だったの……!!?」
私がショックを受けてるその姿をお姉様があらぬ勘違いをされてるので、私は素早く起き上がり!お姉様の手を握り!お姉様のご尊顔を拝見し!訴えました!
「嫌な訳がありません!!お姉様とお出かけ絶対にしたいです!!もう明日からでもしたいに決まってるじゃないですか!!!」
もう本心から心の叫びを訴えさせていただきました!お姉様とお出かけ!それは私にとって最高の行事です!
「そう……良かったわ……それじゃあ……明日から大丈夫なのかしら……?」
「はい!もちろんです!!楽しみです!!」
私の熱意が通じたのか、お姉様はそう言ってくださった。やったわ!明日はお姉様とお出かけだわ!ところが……
「申し訳ありませんが明日は無理ですね。明日はアリー様はカイン王子と一緒に隣国のパーティーに出席するご予定になってます」
ステインローズ家の執事のロバートが、水を差しまくりなセリフを述べてきた。ちっ、せっかくのお姉様とお出かけ……けれど、私はカイン王子の婚約者(一応)だから、必ずそのパーティーに出席しなければならない。
「そう……それなら仕方ないわね……お出かけはまたいつか……」
えっ!?そんな!?お姉様!!?せっかくお姉様からお誘いいただいて、もう明日行く気満々になってるのに!!?どうすれば……
「ロバート。そのパーティー。アリーは病気の為欠席する。そう伝えなさい」
「えっ?いや……しかし……!?」
お父様が更に何か言おうとするロバートを目だけで黙らすと、今度はカイン王子の方を振り向いた。
「カイン王子。そういう事ですので、娘のパーティー欠席をお許しください。アンナが滅多にないおねだりをしたんです。父として、早くそのおねだりを叶えてやりたいんです。だから、お願いします」
「は……はい……分かりました……」
お父様の若干威圧がこもったお願いに、カイン王子はポカンとした表情になりながらも了承してくださいました。流石はお父様!頼りになりますわ!
「アンナ。アリー。明日は2人で楽しんできなさい。なんなら2、3日泊まりでも構わないからね」
お父様は今度は私達に笑顔でそう言ってくださいました。私はお姉様と顔を見合わせ、すぐにお父様の方を振り向き……
『はい!お父様!!』
お姉様と仲良くお父様に返事をした。お父様はそれを見て満足そうに頷きました。
そして、私は1人で部屋でお姉様とのお出かけが嬉しすぎてベッドでゴロゴロと悶えてましたが、ある重大な事実に気がつきました。
「ハッ!?明日のお姉様とのお出かけには、お姉様が変な輩に声をかけられないようにフルプレートアーマーを着ていかなきゃ!!?」
「お嬢様……」
「一体どこの戦場に向かわれる気ですか……」
私の案はヒエンとレイカにアッサリと却下され、普通の服を着るように言われてしまった。けれど、念の為に剣の一本は持って行くべきよね。私はその夜、剣を持っていく方法を思案した。
一方、アンナの部屋では……
「アリーとのお出かけ……アリーが変な輩にちょっかいをかけられないように、明日はフルプレートアーマーを着ないと……」
「お嬢様はどこの戦場に行くつもりですか?まぁ、お嬢様にとっては似たようなものなんでしょうが……」
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