10.ドレスを着た妹が美し可愛すぎて気絶しました
さて、なんのかんので10歳となり、運命のゲーム開始まで後5年となった。出来れば、ゲーム開始されずにこのままずっと妹を愛でる日々を続けたいものだが、物語というのは着々と設定通りに進んでいく……
「アンナ。アリー。明日、カイン第一王子とヴァン第二王子の誕生日を祝う夜会に、君達も出席してほしいと、陛下直々に招待状をいただいているんだが……」
私はそれを聞いて、あぁ……ついにこの時がきたのね……と思った。
ウィンドガル王国第一王子のカイン=エイル=ウィンドガル
ウィンドガル王国第二王子のヴァン=スヴェン=ウィンドガル
この2人は「リリカルスクールラブ」の攻略対象者。しかも、第一王子はアリーの、第二王子は私の婚約者となるのだ。
確かに、設定では第一王子であるカイン王子は、10歳の誕生日パーティーでアリーに惚れて、陛下に頼んでアリーを婚約者にしてもらい、第二王子であるヴァン王子は妹ばかりにいくとアレなので仕方なしに私の婚約者になるが、心は完全にアリーに惹かれているという設定だ。
ちなみに、カイン王子とヴァン王子は双子の兄弟である。私達といい……ヒエンとレイカといい……双子が多いわね〜。この国は……
だから、この誕生日パーティーのイベントがあるのは知っていた。正直拒否したいのだが、陛下直々の招待状ともなるとそう簡単には断れないだろう。恐らくは、王子達の婚約者を見つける為のパーティーでもあるだろうし……
まぁ、そう言う訳でパーティーに行くのは強制的に決定事項な訳だが、問題が一つだけあった。それは……
「あなた。そうなると、アンナちゃんの専属メイドはどうしましょう?」
「問題はそこだな……」
両親は溜息をつきながらそう言った。と言うのも、私はこの歳になっても専属になってくれる従者がいない。こういうパーティーの席では、専属の従者を1人付け行くのが決まりというか、貴族のステータスらしいが……
まぁ、私嫌われてますからね〜。ちらっと侍女達を見れば、皆嫌そうな顔してるし……
「お父様。お母様。私はいっそ留守番していますから、お2人とアリーだけでパーティーに行ってきてくださいな」
と、お父様とお母様に提案した。うん。これ、我ながらいい案じゃね?私が出席しなければ、第二王子は私に無理矢理婚約者にさせられる事もない訳だし……ところが……
「ダメだ」
「ダメよ」
「ダメですよ。お姉様」
お父様やお母様だけでなく、私の超絶天使の妹にまで、美形一家(もち私除く)の迫力ある笑みで拒否された。美形ってずるいね……そんな笑顔で迫られたら何も言えないよ……
「そうです!今日のパーティーだけ!ヒエンをお姉様の専属にするのはどうでしょうか!?」
突然妹が名案と言わんばかりにそう言ってきた。いや!?アカンでしょ!?確かに、ヒエンとレイカは個人でも侍女としてかなり優秀だけど、戦闘面においては、2人揃ってこそ力を発揮するので、2人が離れて行動するのは、妹の防備が薄くなってしまう!!?
「なるほど……確かにそれはいいかもしれないね……」
「そうね〜!ヒエンちゃんもレイカちゃんも優秀だから!私も安心だわ!」
が、私の考えとは裏腹にお父様やお母様は賛成のようだ。いや、確かにいい案だけど……けどなぁ〜……う〜ん……
「アンナ様。ここが落としどころかと」
ヒエンが私の耳もとでそう囁いた。そうね……出席しないって選択肢がない以上、今から専属の従者を見つけられないし、ここが落としどころか……
という訳で、そのパーティーの日だけヒエンが私の専属メイドになった。
で、あっという間にパーティーの日。早速私のお着替えタイムの為にヒエンがやって来てくれたのだが……
「はい!ちちんぷいぷい!」
私はすでに開発していたドレスアップ魔法でいつでも簡単にドレスにお着替え出来たのだった。
「アンナ様も大概ですよね……」
ヒエンは溜息をつきながらも、魔法では補えない髪の毛のセットや化粧などをやってくれた。
で、普通の貴族令嬢なら何時間もかかるお着替え時間を数分で終わらせてしまった私は、部屋でゴロゴロしながら時間を潰したかったが、そうなるとドレスがシワになってしまう為、とりあえず廊下で私の超絶プリチー天使のアリーを待つ事にした。
そして、待つ事数分……
「お姉様?もしかしてお待たせしてしまいましたか?」
そこに現れたのは……普段は天使のように愛らしいのだが、ドレスを着た事で女神も土下座してしまいそうな神々しい美しさを放つ妹がいた。
そう。纏ってる雰囲気は天使のような愛らしさがありながら、女神もビックリな神々しい美しさを放つ私の最高に美し可愛い妹のアリー。
私は、フッと微笑を浮かべてその場に倒れた。
「きゃあぁぁ〜!!?お姉様!?どうされたのですか!?しっかりしてください!!?」
「大丈夫です。アリー様」
「いつもの持病シスコンです」
超絶プリチービューティーな妹の悲痛な叫びと、ヒエンとレイカの冷静なツッコミを耳にし、私はその後数分間、妹のあまりの美し可愛さに気絶した。
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