8.妹の為に龍すら倒して龍のボスになります!
それは、私が6歳の頃。自分の領内にあるスラム街を変えるべく資金を得る為に龍の巣へとやって来ていた。龍の巣には、大量の鉱石や宝石が採掘出来るが、それは巣の入り口付近のみで、すでに貴族達がこぞって人を使って採掘したためにほとんど残っていない。
が、奥の方に行けば入り口付近よりも質のいい鉱石や宝石が大量に採掘出来る。しかし、その為にはこの世の魔物の頂点とも言うべき存在である龍達をどうにかしなければいけない。そう。ここには、何匹もの龍が住まっている為に龍の巣と言われている。
とは言え、龍達はそんなぬ凶暴な種族ではない。むしろ温厚な種族に近いかもしれない。現に、人間達が入り口付近の鉱石や宝石を採掘しても何もしてこないのがその証拠である。
が、ひとたび自分達の領分に侵入して来たら容赦はしない。その猛々しい牙と爪、更には強力なブレスによる攻撃で襲いかかってくる。
現に、自分達の領分に入って来た私を龍達はギロリと威嚇するように睨んできた。
『人間の童よ。ここに何用か?』
私が子供だから間違えて入って来たと思ったのか、一匹の龍が私に威嚇するようにそう言った。
「ここの鉱石や宝石を採掘したいの。退いていただける?」
私の言葉を聞いて、龍達はしばらく黙ったが、すぐに馬鹿にしたように笑いはじめた。
『人間の童が!!面白い事を言う!この地は我らの物!故にここにある物は我らの物だ!どうしても欲しいなら我らを倒してみるがいい!!』
どうせ無理だと決めつけている龍達は笑いながら私にそう言い放った。私はその言葉にニヤリと笑みが浮かんだ。
「言ったわね。今更取り消しても無効よ!」
『人間の童が!我らを倒せるというならやってみせるがいい!!』
そう言って龍達は再び私を威嚇するように睨んだ。
きっと、普通の人間ならそれにビビって逃げ出していた事だろう。しかし、無属性の魔法に、最強の護身術を会得した私から見たら、龍など翼の生えたちょっとでっかいトカゲでしかなかった。
それから、数時間の間……私はその龍達をそれはもう容赦なくボコボコにしてやった。その結果……
『我ら!!貴方様に忠誠を誓います!!!!』
龍の巣にいる龍達全員が私に平伏した。
で、それからというもの……
『あっ!ボス!今日は質のいいミスリル鉱石が採れましたよ!』
『ボス!こっちはオリハルコンを採掘しました!』
『ボス!こっちは珍しいエメラルドを手に入れましたぜ!』
と、言った感じで彼らは私をボスと呼び、鉱石や宝石の採掘を手伝ってくれるようになった。それと、私以外の人間がやって来たら、適当に追っ払うようにも命じてある。私以外に利用されるのも困るからね……
ちなみに、東方の国までの移動手段も彼らである。本来なら方道2、3週間かかるところを、彼らに乗って移動すれば2、3時間で着けるのである。前世のジェット機もビックリのスピードである。
まぁ、最も最近は転移の魔法を開発して、それで一度見知った場所にはすぐに転移出来るようになったので、もう彼らに頼る必要はなくなった。
が、彼らにそれを話したらものすごく悲しそうな目で見られたので、急ぎで仕入れる必要がない場合は、彼らを移動手段として利用するようにしている。
こうして、最強可愛い妹を守る為に私は龍のボスとなったのだった。
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