1.うちの可愛い妹はぶっちぎりの魔力数値に魔力属性持ちでした

時は流れて私も妹も8歳。この国、ウィンドガル王国では8歳になった子供は王族・貴族・平民問わず魔力検査が義務化されている。

魔法はこの世界で様々な発展の礎を築いてきた。特に、このウィンドガル王国では、初代女王であるアイリーンが魔法の力だけで一国を築き上げた言われるぐらいである。

それ故に、この国で魔法を使える者は15歳になると同時に「リリカルスクール」に通い魔法を学び、国の為に貢献する為の人物を育成するのだ。

最初こそは、初代女王であるアイリーンの血が薄くある王族や貴族などが魔法を使えるのが一般的だったが、昨今では平民からも魔力持ちが出た為に、魔力検査は平民にも義務化されたのだった。


で、当然ながらステインローズ伯爵令嬢である私と妹も、魔力検査を受ける歳になった為に、現在は魔力検査を行う為の準備が整うのを待ってるところである。


「お姉様。なんだかとても緊張しますわね」


5歳の舌ったらずな可愛い感じが無くなり、しっかり喋れるようになり、ますます美少女に近づいている妹は今日も最高に天使のように可愛い!!!


「大丈夫よ!アリー!今日もあなたは天使のように可愛いらしいわ!!」


大丈夫よ。アリー。魔力検査と言っても大して難しい事とかする訳ではないのだから、変に緊張する必要ないわ。


「アンナお嬢様」


「本音と建前が逆になってます」


私に涼しい顔してそう指摘するのは、ヒエンとレイカという名前のアリー専属の侍女だ。この2人も双子の姉妹で、私が見つけてアリーの専属侍女に抜擢したのだが、その辺はおいおい語るとしよう。


「ありがとうございます。ですが、私なんかよりもお姉様は女神のように愛らしいですわ」


そう言って私に微笑んで褒め称える妹はやっぱり天使だ!!!

が、アリーの言葉は否定すべきところがある。確かに、私は超絶美少女のアリーの遺伝子のおこぼれをもらい、多少なりとも美少女に見えるが、問題は目つきである。とにかく、目がつり上がっていて、いかにも悪役面なのである。せっかく美少女遺伝子のおこぼれをいただいたのに誠に残念である。まぁ、それでも超絶プリチー美少女のアリーが幸せなら私の見た目なんてどうでもいいんだが……


「お待たせしました!アンナ様!アリー様!準備が整いましたのでお入りください!」


私達は名を呼ばれ、テントの中に入る。テントの中には複数の大人達がいた。この大人達は皆「魔法省」の職員達だ。

「魔法省」とは、魔法による国の発展に尽力をしている組織である。だから、このよう魔力検査も魔法省の仕事なのである。


「では、まずはアンナ様。この板に右手を乗せてください」


どうやら、最初に検査を行うのは戸籍上姉となってる私からであるようだ。私は一旦その場で深呼吸すると、板に右手をかざした。すると、板がボォっと光を放った。


「……アンナ様。魔力数値100。魔力属性は地属性です」


魔法省の職員がそう言って、私にもう右手を放しても大丈夫と言ってくれたので、私は言われた通りにし、先程いた場所に戻った。


「凄いです!!お姉様!!お姉様はやはり素晴らしいです!!」


私が魔力持ちに私以上に喜び、嬉しさのあまりピョンピョン飛び跳ねる妹が天使可愛いすぎる!!

が、それに反するように、魔法省職員の「その程度で喜ぶなんて……」感がヒシヒシと伝わってきた。

それもそのはずで、魔力数値100は昨今当たり前にあるぐらいで、魔力があってもその数値は低いと言われている平民より低いのである。おまけに、地属性というのも、魔力属性として1番よく見受けられる属性なので、魔法省の職員の想いは本当にその通りであろう。


「では、続いてアリー様。お願いします」


「はい!では、お姉様!行ってまいりますね!」


私と繋いだ手を名残惜しそうに放して魔力検査に向かう妹が可愛いすぎる。さて、妹の魔力検査だが……まぁ、私はこの結果をよく知ってますよ。なんせ、「リリカルスクールラブ」のプロローグで何度も流れてきたシーンですからね〜。


「なっ!?なんだ!!?これは!!?」


アリーが魔力検査の板に触れた途端、板がものすごい光を放ち、最終的に「バアァン!!?」と音をたて、光は止み、板からブスブスと煙が立ち上っていた。


「……あ……アリー様……魔力数値……測定不能……魔力属性は……全属性!!?」


魔法省の職員が全員目を見開いて、アリーの魔力検査の結果に驚いていた。まぁ、ゲームの私もポカンとした表情をしていた気がするが、現実の私はよく知ってる事なのでポカンとするどころか、「流石私の可愛い妹!!」と言わんばかりのドヤ顔で胸を張っていた。


「お姉様!!やりました!!これで私も魔力持ちとしてお姉様と一緒に学園に通えます!!」


私の手をとって嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねる妹はやっぱり天使だわ!!!


「私も嬉しいわ。一緒に学園に通える日が待ち遠しいわ」


私が心の底から想った事を口にしたらアリーは今日1番の笑顔を見せてくれた。私はその超絶プリチーな笑顔に失神し、ヒスイとレイカに支えてもらいながら部屋に戻された。

あっ、そういえば私はこのシーンは、ゲームだと私は妹の手を叩き拒絶するんだっけ?私にそんなこと絶対に無理だけど……


しかし……分かっていた事だけど、アリーも私と同じく魔力数値測定不能とは……私達はやっぱり双子って事ね。

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