第28話5
「あれ?もう気がついたみたいだ…」
ミヅキ達の動向を気づかれないように従魔を使いながら観察している黒髪の男の子がボソッと呟く…。
「闇魔法で惑わせて襲わせようとしたのになぁ~なかなか上手くいかないなぁ…」
黒髪の男の子は…
「そろそろ潮時かな…」
そう言うと…誰かに気づかれることなく闇へと消えて行った…。
【ミヅキー!】
【シルバ~!怖かった~】
ミヅキはシルバに会えてほっとするとガバッと抱きついた!
【ミヅキを襲ったヤツらは何処だ!】
シルバは牙を剥き出しグルウゥ…っと唸っていると…男達がミヅキ達を取り囲む…。
【殺す!】
【駄目だよ!ベイカーさん達に怒られちゃう!癒しの魔法で解けるから…気絶させられる?】
【そんなんじゃ腹の虫が収まらん!】
【シ、シルバ~!】
ミヅキがシルバをおさえていると…
「ミヅキー!」
「ミヅキさん!」
ベイカーさんとセバスさんが駆けつける!
「あっ!いい所に!二人ともシルバを止めて~!」
「いや…その前になんでお前はそんなに汚れているんだ…」
ピシッ…
「そうですね…その腕の痣はなんですか?」
ビキッ…
ミヅキの乱れた服と、掴まれた時に出来た痣を見て…ベイカーさんとセバスさんから変な音がする…
「あ、あれ?二人とも?どうしたの?助けに来たんだよね~」
ミヅキが伺うと…
「俺が助けるのはミヅキだけだ」
「私もです」
「あっ…嬉しいです…。って今はそんな場合じゃないから!みんな魔法で操られてそんな行動取っちゃっただけなんですよー」
「魔法で操られるなんて鍛え方が足りないからだ」
「その通りです、自業自得です。死んで詫びて貰いましょう」
【俺も手伝う!】
「ちょ、ちょっと!」
ミヅキは男達に向かっていくベイカーさん達を止めることが出来ずに三人の後ろ姿を見ていた…
ミヅキに群がっていた男達を全てのした三人はスッキリとして戻ってくると…
「三人とも!」
ミヅキが長い足を広げ、細い腰に手を当て仁王立ちで立っている…。
「「【あっ…】」」
「やりすぎだよ!」
「あっ…いや…このくらいしておかないと…次またあるかもしれないから…」
「そ、そうですよ…ミヅキさん…癖になると良くないですからね…」
シルバがそーっと離れようとすると…
【シルバ!】
【はい!】
「三人とも!反省するまで口聞かないからね!」
ミヅキは三人を素通りすると伸びてる男達の介抱に向かった…。
「大丈夫ですか…」
ボロボロの男を抱き寄せ、回復魔法をかけると…
「う、うう…」
意識を取り戻す…
「お、鬼が…」
体の傷は治ったが…心にも傷を負ったようだ…
「もう大丈夫ですよ…わかりますか?」
ミヅキが顔を覗き込むと…
「て、天使…」
男がミヅキが握りしめていた手をギュッと握り返すと…
「ひっ!」
急に手を離した…。
男の視線の先を見ると…三人が気まずそうに立っている…。
「ミヅキさん…すみませんでした。私とした事が…ミヅキさんが穢されたと思うと…自分を抑えられず…。でもミヅキさんの事を思ってのことなんです」
男を握っていた手をそっと掴むと…痣になってる場所を優しく撫でる…。
「でも…もう少し考えて行動すべきでしたね…」
ミヅキの手をそっと握りして下を向く…
「セバスさん…」
「ミヅキさんに嫌われる事が…一番キツイですね…」
悲しそうに笑うと…
「嫌ってなんか無いよ!ただ…やりすぎだったからちょっとムカッときちゃって…もうしない?」
ミヅキがセバスさんを見つめる…
「勿論です…ミヅキさんを悲しませるような事はする気はありませんよ!でも…」
セバスさんがグッとミヅキを引き寄せると…
「ミヅキさんがまた危ない目にあったら…自分を抑える自信がありません…なのでご自分でも気をつけて下さいね」
セバスさんがニッコリと笑う…。
「はい…」
ミヅキは顔が赤くなりながら…そう返事をするのが精一杯だった…。
「セバスさんめ~上手いこと言いやがって…」
ベイカーさんがセバスさんを恨めしそうに見つめると…セバスがそれに気が付き口角をあげる…。
すると今度はシルバが…
【ミヅキ…すまなかった…】
シルバがポーっとしてるミヅキに耳を垂らしながら擦り寄ると…
【シルバ…なんか…体がボーッとする…】
【ミヅキ?】
ミヅキがシルバに倒れ込んだ…
「ミヅキ!」
「ミヅキさん!」
シルバが体でミヅキを支えると…ミヅキの体が徐々に小さくなる…。
「戻った?」
そこにはいつものミヅキが大きな服に埋もれて眠っていた。
ベイカーが抱き上げてセバスが確認するが…
「眠っているだけの様ですね…」
その言葉にみんなでホッとすると…
「全く…人騒がせな…」
「早く戻って休ませましょう」
「だが…こいつらどうする?あのままにしといたらミヅキにまたドヤされるぞ」
伸びている男達を顎で指すと…
パチンッ!
セバスが微量の雷魔法を気付け代わりに落とすと…
「うっ…」
「あっ!」
男達が目を覚ます…
「あなた達も男ならご自分で立って下さい…そこにヤク草も落ちてますから拾って回復してギルドに戻って下さいね」
ニッコリと笑いかけると…
「「「「「「「はい…」」」」」」」
「よろしい…では…」
くるっと向きを変えるとミヅキ達を連れて家へと戻って行った…。
「う~ん…おはよぅ…」
ミヅキがシルバに顔を擦り付けると…ペロペロとシルバがミヅキを舐める…。
【ふふふ…くすぐったい…】
ミヅキが目を開けると…
「ミヅキ!」
ベイカーさんがミヅキに声をかける!
「うわっ!べ、ベイカーさん?」
いきなり声をかけられびっくりしていると…
「ミヅキさん?どこか痛いところはありますか?」
「セ、セバスさん?あれ?何かあった?」
ミヅキが驚き困惑してると…
「お前…覚えて無いのか?」
「えっ…なんかあったっけ?」
ミヅキが首を傾げると…
「いや…別に…なんとも無いなら着替えて飯を食おう…」
ベイカーさんがそう言うと、セバスさんと部屋を出ていった…。
ミヅキが呆気にとられていると
【ミヅキ…何も覚えていないのか?】
【えっ…?】
【なんか…変わった事があったとか…】
【えー?あっ!なんか変な夢は見たよ!大人になった夢!最後はシルバやベイカーさん達がやりすぎて怒ってた気がする!】
【そ、そうか…それは不思議な夢だな…】
シルバがふいっと顔をそらすと…
【そんな夢は忘れて飯を食べよう…】
シルバは戸惑うミヅキを促し…ミヅキの大人の時に来た服をそっと隠した…。
色々やらかす転生幼女は溺愛されすぎてほっとけない番外編 三園 七詩【ほっといて下さい】書籍化 5 @nawananasi
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