第27話4
(いつまで付いてくる気だ…)
シルバはイライラしながら警戒を緩めずに進んでいると…
【あっ!ここら辺に採取する草生えてるみたいだよ!】
ミヅキがシルバを撫でながら草を見せる
(大きくなった時はどうしようかと思ったが…ミヅキは変わらないなぁ…)
上から見下ろされ…シルバと優しく目を細めて笑うミヅキを見ていると…何だか嬉しい様な切ない様な懐かしい気持ちになる…。
(いかん!いかん!気を抜くとアイツらが押し寄せて来る…)
シルバは近づこうとする気配に威圧を放って行くがキリがない…いつもならこの程度で諦めそうなのに…今回は諦める気配がなかった…
(そこまでしてミヅキと話したいのか…)
ミヅキを見ると…そんな事になっていると気づきもせずに楽しそうに採取をしていた…。
(確かに…いつもの面影も残っていて…ふと見せる表情が大人っぽいが…中身はミヅキのままなのに…)
シルバが愛おしいそうにミヅキを見ていると…
(しまった!)
ちょっとした隙をつき三手に別れてしまった!
(さすがに殺したら…ミヅキが悲しむし…怒るよな…ミヅキに嫌われるのだけは避けなければならない)
シルバが一番強そうな気配のグループの元に向かうと…他のグループが一気にミヅキに近づいてきた!
「よし!ようやくあの従魔が離れたぞ!」
「時間があまりない!順番に行くぞ!」
男達は予め決めていた順番で1人ずつミヅキに話しかけた…。
「コ、コンニチハ~」
思わず声が上擦ると…ミヅキが振り返る…その瞬間ミヅキの髪が揺れ…ほのかにいい香りが男の鼻をくすぐった…。
バターン!
男は匂いと振り返って見えた顔に舞い上がり…1番というプレッシャーに押しつぶされて倒れ込んだ…。
「えっ?何?なんでまた倒れたの?」
本日二回目の倒れる人に戸惑っていると…撤収隊が男を運び出す…呆気に取られていると…次の男が現れた…。
「一目見た時から決めてました!俺とパーティ組んで下さい!」
ミヅキの前で手を差し出し頭を下げると…
「「「「ちょっと待ったー!」」」」
他の男達が数人現れると同じように一言言ってミヅキの前に手を差し出した…。
「えっ?これ何?ドッキリ?」
ミヅキがキョロキョロと周りを見ると…シルバが居ないことに気がついた…
「あれ?シルバは?」
ミヅキが不安そうな顔をすると…
「「「「「お願いします!」」」」」
男達が再度声を出す。
「よく分からないけど…ごめんなさい…私行かないと…」
ミヅキがシルバを探しに行こうとすると…男達が出てきて行く手を阻む…。
「すみません…退いて下さい」
ミヅキはキッっと睨みつけるが…
「怒った顔も素敵だ…」
男達はポーっとなりミヅキの言葉が聞こえて居ないようだった…
「お願いだ!俺と付き合って下さい!」
「いや!俺と!一度でいいからデートしてください!きっと満足させてみせます!」
「いい加減にしろ!怖がってるだろ!」
一人の男が庇うようにミヅキの前に立つと…
「彼女は俺の女だ!手を出すな!」
(なんか…おかしい?)
ミヅキはそーっと男達が離れようとするが…突然ガシッと腕を掴まれる。
「痛っ!」
「何処にも行かせない…僕と一緒に暮らそう…君のために家を買うよ…」
ミヅキは男達の言葉にゾッとする…まるで何かに操られているように目が血走っていた…。
【シルバ…ベイカーさん…セバスさん…】
ミヅキはみんなの顔を思い浮かべると…ふっと肩の力が抜けた…覚悟を決めグイッと腕を引いた!
一瞬気を抜いた男の腕を振り払うと一目散に走り出す…。
後ろを振り向かずに走るが…恐怖から足がもつれて転んでしまった…。
「キャッ!」
直ぐに立ち上がろうとするが腕を引かれて再び倒れ込むと…男に地面に押さえつけられる…。
「なんで…逃げるの?俺が嫌い?」
男は悲しそうな顔をしながらも凄い力でミヅキを押さえつけていた…。
ミヅキは力を抜くと…
「お兄さん…どうしたの?何が悲しいの?」
ミヅキは男の手を握りしめると…癒しの魔法をかけた…。
すると男がバタンと倒れる。
「やっぱり…なんかの魔法にかかってたのかな?」
【シルバー!シルバー!】
ミヅキはシルバに話しかけると…
【ミヅキ!どうした!無事か?】
シルバが慌てた様子で聞いてくる…
【どうにか無事~だけどなんか変な人達に追われてる】
【何だと…】
声からシルバの怒りが伝わってくる…
【シルバ!落ち着いて!なんか操られてるみたいなんだよ…だからね…】
【ふー…殺すなだろ…】
【さすがシルバ!わかってる!】
ミヅキは立ち上がるとシルバの方に走り出した!
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