第26話3

ミヅキがシルバと歩いていると…


「えっ…あれってミヅキちゃんとこの従魔だよな?隣の女性は誰だ?」


早速目立ちながら街中を歩いていた…


【くっそ…今日はやたら視線が多いな…】


シルバがピリつくと…


【でも誰も近づいて来ないから大丈夫だね!ベイカーさんもセバスさんも心配し過ぎなんだよ~】


ミヅキが能天気に笑っていると…



ざわ...ざわ...


「なんだ…あの可愛い子…あんな子いたっけ?」


「ミヅキちゃんと同じ黒髪だ…でも大人…だよな…髪も長いし…」


冒険者達が伺っていると…隣の従魔達が殺気を飛ばしてくる…。


「なんだ…あの圧…近付けねぇよ」


「声掛けたいのに…怖すぎる」


男達は近づくことが出来ずに遠巻きにミヅキを見つめていた…。


すると…遠くからコジローさんが歩いてくる…


「あっ!コジローさんだ!おーい!コジローさーん」


ミヅキがコジローの名前を呼びながら近づくと…


「なんだ?あの子コジローさんの知り合いか?」


「なら後で紹介してもらおうぜ!」


「それいいな!知り合い経由ならあの従魔もついてこないだろ!」


男達は遠くから二人の様子を見守っていた…


「コジローさん!こんにちは!今から依頼受けに行くんですか?」


ミヅキがコジローに話しかけると…


「えっ…」


コジローが大人ミヅキとシルバを交互に見る…と


【シ、シルバさん…これは一体?もしかして…この女性…ミヅキなんですか?】


シルバと一緒にいるなら…まさかと思い聞いてみると…


【そうだ…今朝起きたら体が大きくなっていた…見た目が少し変わったがミヅキはミヅキだからな】


【いや…見た目が少しって…】


コジローがミヅキを見ると…そこには自分といくつも変わらない感じの可愛らしい女性がニコニコと笑っている…


「確かに…その笑顔…ミヅキらしいなぁ…」


コジローは大人になっても変わらないミヅキの笑顔にほっとすると…


「なんかコジローさんはいつも通りで嬉しいな!」


ミヅキがくすくすと笑うと…


「いつも通り?」


「ベイカーさんとセバスさんは何だかよそよそしくて…」


「そりゃ!俺だってミヅキがこんなに綺麗になっててびっくりしてるよ!でも…ミヅキはミヅキだからね」


「コジローさん…」


コジローからの嬉しい言葉に、思わず抱きつくと…


「コジローさんありがとう!」


ニコッ笑い顔を見ると…コジローさんの顔が真っ赤に染まっていた…


「えっ?」


「ミヅキ…いきなり抱きつくのは…」


コジローさんはバタンと後ろに倒れ込んだ…


「きゃー!コジローさん!」


ミヅキが起こそうとすると…


【ほっとけよ…】


シルバがサッサと先に進もうとすると…


「で、でも…」


ミヅキが回復魔法をかけるが一向に赤みが引かない…


【本人は幸せそうなんだ、そのまま寝かせておいてやれ】


確かにコジローさんは嬉しそうな顔をしていた…


ミヅキはコジローさんに布を掛けて心配そうに何度も振り返りながらシルバの後を追う…


【大丈夫かなぁ…】


【後ろに冒険者達がいたから介抱してくれるだろ】


【あっそうなの?なら大丈夫かなぁ…?】


ミヅキは後ろ髪ひかれながら採取の依頼へと向かっていった…


その後ろを沢山の男達が付いてきてるとも知らずに…

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