第25話2

「あっ!セバスさん!こんにちは~」


ミヅキはセバスに笑顔で挨拶をすると…


「えっ…」


セバスは突然出てきた若い女に驚くと…ボソッと呟く。


「この黒髪…黒い瞳…ミヅキにそっくりですね…」


セバスはニッコリと笑い目の前の女性を素早く観察する…。


「あなたは?私は…ベイカーさんに会いに来ましたが…留守でしょうか?」


「セバスさんまで酷い!私だよ!ミヅキだよ!」


「えっ…」


セバスは驚くと上から下までじっくりとミヅキを見てしまった…。


「セバスさん…?」


「あっ…失礼しましたあまりに美しくなっていたので…不躾に見てしまいました…」


セバスがミヅキの手を取ると…


「ミヅキさんは小さくても可愛らしかったですが…大人になっても大変魅力的ですね…」


セバスさんが大人っぽい視線を送る…。


ミヅキはポっと頬を赤く染めた…


「あ、ありがとうございます…」


ミヅキが恥ずかしそうにはにかみながらお礼を言うと…


「これは…」


セバスさんがグッと顔を引き締める…。


(独り占めしたくなる笑顔ですね…)


コホンっと咳払いして部屋を見ると…


「ところでベイカーさんは?」


「私の服を買いに行ってくれました、この服だと気に入らないみたい」


ミヅキがベイカーさんのぶかぶかの服をチョイと摘むと…長い足がチラッと見える…


周りを確認すると…通行人の男か鼻の下を伸ばしミヅキを見ていた…。


「そうですね!それはいけません。ミヅキさんは今すぐ部屋で待っていなさい」


ベイカーさんだけでなくセバスさんにも怒られる…


「全く…そんなに綺麗な足をそんなに出してはいけませんよ!」


部屋に戻るとセバスがミヅキの足に布をかける…


「ありがとうございます」


ミヅキが笑ってお礼を言うと…


「しかし…ミヅキさんが今度は大人ですか?一体何をしたんですか」


「うーセバスさんまで…知らないですよ!起きたら大きくなってたの!」


「扉から出てきた時は…ベイカーさんがミヅキさんに似た女性を連れ込んだのかと思いましたよ…」


「セ、セバスさん?」


「そんな馬鹿な事をしたのかと…一瞬頭でベイカーさんを殺してしまいました」


セバスさんがニッコリとミヅキに笑いかける。


セバスさんのどす黒い空気にミヅキはハハ…と乾いた笑いをすると…


バン!と家の扉が勢いよく開く…


「ミヅキ!服を買ってきたぞ!」


ベイカーさんが買ってきた服が入った袋を見せると…


「げっ…セ、セバスさん?」


ミヅキの隣で笑っているセバスが目に入る。


「人の顔をみて〝げっ〟とは、失礼じゃありませんか?」


セバスは立ち上がるとベイカーを連れて部屋の隅に行くと…


「あなたは何故あんな状態のミヅキさんを部屋に一人で置いて行ったんですか!」


「い、いや…ちゃんと待っているように言ったから…」


「ミヅキさんですよ!じっとしてる保証なんてありませんよ!」


「それは…そうだな…」


ベイカーも納得する…


「扉から出てきた時…私ではなく野蛮な冒険者なら襲われていたかも知れませんよ!」


そう言ってミヅキを見ると…いつもの可愛らしさではなく…大人っぽい仕草と格好にドキッとする…


「いや…すまなかった…」


「とりあえずあの格好はよろしくありません!直ぐに着替えさせましょう」


ベイカーは頷くとミヅキに服を渡す。


「ミヅキ、とりあえずこれに着替えろ」


「はーい」


ミヅキは服を受け取ると…着替える為に服を脱ごうと立ち上がると…


「ば、馬鹿!部屋で着替えてこい!」


服を託しあげようとすると手を掴んで停止させる。


「あっ…ごめん!つい癖で…」


ミヅキはあはは…と笑いながら自分の部屋へとシルバ達と向かった…。


「ヤバくないか…」


ベイカーがセバスを見ると…


「確かに…あの姿でいつもの様に他の方と接しでもしたら…」



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「コジローさん!」


ミヅキがコジローを見つけて体当たりすると…


少し膨らんだ胸がコジローの胸に当たる…いつもより近い目線にコジローがたじろぐと…


「コジローさん?」


ミヅキがコテンと首を傾げて…


「一緒に行こ(討伐依頼)」


コジローはミヅキを抱き寄せると…


「はい…」


二人はくっつき合いながら森に消えて行った…。



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ベイカーが変な想像をしてブルっと震える…。


「やばい…変なの想像しちまった…これは戻るまで誰とも合わせない方がいいのか?」


「しかし…ミヅキさん今日依頼を受けていませんでしたか?」


ベイカーは顔を覆うと…


「どうするか…止めさせた方がいいか?」


ベイカーがセバスと顔を合わせていると…


「行くよ!一度受けた依頼はちゃんとやり遂げないと!」


女性用の冒険者の服に着替えたミヅキがバーンと扉を開けた。


「し、しかし…ミヅキさんは今普通の状態じゃありませんから…」


「そうだ…変な奴に目をつけられたらどうするんだ!」


「えー変な奴って?」


コテンと首を傾げると…


「いつもなら子供ですから手を出すような馬鹿はあまりいませんが…今のミヅキさんは立派な大人です!しかもその容姿なら声をかけてくる冒険者が沢山いますよ!」


「えっ!本当に!私可愛いですか?」


ミヅキが嬉しそうにしていると…


「それは勿論保証します」


「まぁ…なかなかいいんじゃないか?」


セバスさんとベイカーさんの答えに…


「ベイカーさんがモテない理由がわかったよ…」


ミヅキがガックリと項垂れる。


「でも今日の依頼はただの採取ですから…シルバと行って直ぐに終わらせて来ますよ!」


「やっぱり…俺がついて行くか…」


ベイカーさんが立ち上がると…


「ベイカーさんだって今日討伐依頼が入ってるでしょ!ちゃんと仕事しないと駄目だよ」


ミヅキが怒ると…


「私も…仕事がありますし…」


二人が頭を悩ませていると…


「二人共心配し過ぎだよー!シルバがいるから大丈夫だよ、ねーシルバ!」


【おお、ミヅキに手を出すやつは噛み殺してやる!】


【いや…殺さないでね】


ミヅキが苦笑すると…


「シルバがなんて言ってるのか知らんが…ミヅキに手を出すやつがいたら…キッチリしめてこいよ!」


「ガルルルゥ…」


シルバが当たり前だと返事をする…




「じゃいってきまーす!」


ミヅキはシルバと元気よく家を出て行ってしまった…。


「仕方ありません…私達も急いで仕事を終わらせてミヅキさんの元に向かいましょう…」


「そうだな…シルバ達を信じて…とりあえずは自分の事を終わらせよう!」


二人もミヅキ達に続き急いで家を出て行った。

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