第24話おとな

いつもの目覚め…シルバに顔を擦り付け目を開く。


【シルバ~おはよぉ~】


【……】


シルバからの返事がない…


可笑しいなと思いシルバを見ると、目を真ん丸に開いて口をポカンと開けていた。


【シルバ?どうしたの?】


ミヅキがシルバの頭を撫でようとすると…シルバがビクッと反応する。


その仕草にズキンと胸が痛む…


【えっ…】


ショックに顔が悲しみに染まる…


【あっ!すまん!ミヅキ…なんだよな?】


シルバが伺うように聞いてくる…


【そうだよ…どうしたの?シルバ…私の事嫌いになったの…】


ミヅキが首を傾げ悲しげに聞くと…


【ち、違う!その…姿があまりに変わっていて…】


シルバがしどろもどろに答えると…


【姿?】


ミヅキが自分の手を見ると…


「なんだこりゃー!」


思わず大声で叫ぶと…


バタバタ!


叫び声にベイカーさんが駆け付ける。


「ミヅキ!どうした!」


扉を開けると…そこには裸同然の大人の女性がいた…。


ミヅキは服が小さくなって体をほとんど晒している事に気がつくと…


「きゃー!ベイカーさんのエッチ!」


体を覆い後ろを向くと…


「えっ…いや…すみません」


バタンと扉を閉める。


突然裸同然の姿でいた女にパニックになると…


「えっ?えっ?あれ誰だ?ミヅキは?」


ベイカーはもう一度扉に向き合うとドンドンと扉を叩く。


「すみません…あなたは?そこに黒髪の女の子いませんか?」


「ベイカーさん!何言ってるの!私がミヅキなの!」


「はぁ!」


思わぬ答えにベイカーはまた扉を開けてミヅキにしこたま怒られた…。


ミヅキに大人の服を頼まれて…とりあえず自分の服を渡すと…ぶかぶかな服を着てミヅキが部屋から出てきた。


「ベイカーさん…みた?」


黒髪が腰まで伸びた女性が恥ずかしそうに頬を染め少し怒りながら聞いてくる…


「あっ…いえ…」


ベイカーが思わず顔を逸らすと…


「どうなの?」


ミヅキがグイッとベイカーに近づいてくる。


「見、見てない!シルバがいたせいで丁度見えなかったんだ!」


胸元が見えそうなぶかぶかの服で迫ってくるミヅキにたじろぐと…


ミヅキがベイカーさんの目線に気が付き、自分の胸元を見る…。


「やっぱり!見たでしょ!」


「見てねえよ!見るほどないだろ!」


バッチーン!




ベイカーは頬に赤い手形を付けたまま…


「それで…なんでまた大きくなったんだ?」


「知らないよ!こっちが聞きたい!」


長い白い足を晒して組んでいるミヅキに、ベイカーは目線をそらす…。


「ミ、ミヅキ…ちょっと足を出しすぎじゃないか?」


「えっ?」


ミヅキが自分の足を見ると…


「だって服ないし、ベイカーさんの服大きいからちょっとしたワンピースみたいでしょ」


ミヅキが立ち上がりくるっと回ってみせると…服が広がり白い太ももがチラッと見える。


(やばい…)


「ミヅキ!とりあえず大人しくしてろ!今服を買ってくるから!」


ベイカーはミヅキの返事も待たずに家を飛び出して行った…。



「何あれ?」


ミヅキがベイカーさんの様子に首を傾げてシルバを見ると…


【さぁ?】


シルバも一緒に首を傾げていた…。


言われた通りに大人しく待っていると…トントンと家の扉をノックする音がする。


ベイカーさんが帰ってきたと思い扉を開けると…そこには…

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