第20話 ドカ雪
うちの地方は暖かく、ほぼ雪の心配はないのですが、何度かドカ雪が降ったことがあります。
その日の午後は晴れ渡り、雪が降るようにはみえませんでしたが、とても空気が冷たかったのを覚えています。
大雪予報が出ていましたがあまり気にしていませんでした。今までその類の予報は当たったことがなかったので甘く見てました。
夕方から子供の友達の発表会があり4時すぎに家を出た私達でしたが、5分ほど走ると渋滞に巻き込まれました。
家を出る時にも雪は降り始めてましたが、車が止まった途端にぼた雪に変わり、歩道にも積もり始めました。
車がかき氷機の中に入り込んでしまったように空からは次から次へと雪が降ってきます。いつもならすぐに止む雪も今日に限って止むどころかどんどん激しく降り続きます。
ぼとぼとと空から落ちるように降る雪。
まるで降るといったら降る!という空の決意表明を感じるほどで、運転席から見る景色は雪国そのものです。
のろのろと車を進めていきますが一本道の為戻れずやっと交差点で曲がれた時に泣く泣く帰る道を選びました。
いつもなら10分かからない所が30分はかかっていますし一体いつ帰れるのか…。
子供ははしゃいで
「お母さん、雪すごいね!どんどん降るね!」
と興奮してます。
どこもかしこも真っ白です。前の車が雪の間からかすかに見えるだけ。対向車は霞んでます。
「ほんと、すごいね…」思わず溜め息が出ます。
大通りに出た途端全く車が動かなくなってしまったからです。
それでも少ししたらのろのろとですが車は進み始めました。
ガソリンは満タンに入れたばかりでしたので後は事故のないように帰ればいい…と思いながらふと外を見るとコンビニの前の道で車が変な角度で雪に乗り上げてました。車道と歩道の間にあるブロックに気付かす勢いよく乗り上げた結果車の真ん中で止まってしまったようです。怖い…。
真っ白でどこになにがあるのかわかりませんから、とにかく前の車にくっついてそろりそろりと運転しました。家に着いた時には出かけてから2時間近く経ってました。普段なら20分で回れる道です。
どっと疲れてソファに座ったらしばらく動けませんでした。
予報をなめると恐ろしい事になるというお話でした。
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