第10話 出てくるヒトビト
冬になりあっという間に夕暮れから夜になってしまいますね。
これだけ寒いと歩いてる人がほとんどいなくて少しは気が楽です。
とにかく田舎の昼間は時々色んな人達が道を横断してきますから気が抜けません。
おじちゃんおばちゃんおじいちゃんにおばあちゃん、休みになれば自転車に乗った子供達…と斜め横断も日常茶飯事で、車の影からフッと出てくる人もたまにいます。
そのたびにギャッ!となる訳ですが出てくる方は涼しい顔です。
向こうにしてみたらちゃんと見てるから大丈夫、という妙な自信と歩行者を轢いたらアンタが悪いんだからね!という彼等の気持ちが行動に滲み出てるような気がしてコチラとしては気分がよろしくないですが、そう思うのは私だけでしょうか。
昔、赤信号で停まっていて青になったからさあ渡ろうと思った時の事です。
手押し車を押したおばあちゃんが赤信号側の歩道をゆっくり横断し始めました。
免許を取ったばかりの私は本当にびっくりして、こんな時は自動車学校の先生ならなんて言うのかしら?停まってなさいとは言うと思うけど、なんて思いながらそのまま停まってました。
おばあちゃんは急ぐ様子もなく悠々と渡って行きます。
堂々とのんびり歩いてくおばあちゃん。わざとにも見えるくらいのろのろと進んで行く様子に待たされてる方は腹が立ったんでしょうね。道の真ん中に差し掛かった時に対向車の車から
「赤信号だぞ!轢かれたいのか!」と男の人の声で怒鳴り声が飛んできました。
するとおばあちゃんはキッとそちらに顔を向けて
「轢きたきゃ轢いてけ!!」と大声で怒鳴り返したのでした。相手もそれ以上は何も言わずおばあちゃんはますますスピードを落としながらも何事もなかったように無事に渡り切りました。
あの時「そちらは赤信号ですよ、危ないですよ」と声を掛けられても「轢いてけ!」とおばあちゃんは返事を返しただろうか。
怒鳴った人が悪いわけじゃないですが、モヤモヤした気分の悪さが残りました。
おばあちゃんの気持ちは分かりませんが、もしかしたら世の中には轢かれても構わない人がいるのかもしれない、色んな人がいる、と肝に銘じた出来事でした。
私達は車に乗ったら強者になる。
それを忘れてはいけませんね。
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