第6話

私はどきん、と心臓が跳ねるのを感じる。震える声で、

「あの、異世界から来た子供ーーーって?」

それだけ、聞くのがやっとだった。

よく声が震えなかったと褒めてやりたい。

「ああ、あんた、いいトコのお嬢みたいだし、知らないのも無理ないか。ーーーたまにいるんだよ、こっちの世界じゃない、別の世界から迷い込んだお客さんが。界渡り、と言われる異能者だな」

ーーーそう言えば、どうして言葉が通じているの?さっきから、私は彼の言葉が理解出来るし、彼もそうだ。

でも、今はそれどころじゃない。私は彼の言葉を一言一句、間違わないように、胸に刻み込む。

「界渡りした奴らは、国が面倒を見る。じゃなけりゃ、拾った人間が、だな。なんでもこの国に昔、大暴れした悪い魔法使いがいたそうな。で、その魔法使いを封印したのが、たまたま界渡りした勇者だった」


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異世界より今日は。 @Moon-cristal

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