第3話

水面を見て、私は愕然とする。

ーーーこれは誰?いつの間に髪染めた?いつの間にカラコンにしたの?

でも、私の心が、身体が教えてくれる。

私の名は、セラフィラム・マリー・ローゼンハイムだ、と。

ローゼンハイム王国の第1王女、次期女王陛下。

「おい、大丈夫か?また川に逆戻りしてーなら、止めないが」

私はふと、命の恩人である彼を見た。

年齢は私と変わらないぐらいか?意外と彫りが深い顔立ちをしている。全身真っ黒に日焼けしており、茶色の瞳に、ちょっとクセのある髪を首の後ろで一つに縛っていた。髪の色は赤茶色だ。

ーーー悪い人ではないみたい。私はまだ助けてもらったお礼も言ってはいなかったのを思い出す。

「助けていただいてありがとうございます。貴方の名前を伺っても?」

私は彼の瞳をまっすぐみて、問いかける。

すると、彼は照れたように頭をかき、

「参ったな。そんな上品に扱われた事ね〜からな。俺の名はジュピター・ロイド。魔物専用の渡り鳥さ。得意なのは剣。魔法も使えるが、回復魔法ぐらいだな」

彼の説明に、私は納得した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る