16-すいか

 日本史のテスト勉強しながら笑いをかみ殺してる女子高生なんて、世界広しと言えども私くらいなんじゃないかなって思ってる。

 この、屈葬ってやつがね。どうしても思い出し笑い、しちゃうんだよね。


 少し前、高矢の部屋に行ったとき。

 おっきなすいか、じいちゃんの畑からたくさん送られてきたから、ひとつまるごと持っていってみたんだよね。友達と食べるって言って。まあ、完全な嘘じゃないよね?

 で、例の四畳半に上がり込んだんだけど、高矢、ランニングにトランクス一丁で、畳の上で昼寝してるわけ。かーなり無防備に。

 そりゃさ、ちょっといたずらしたくなっちゃうでしょ。もはや誘ってるでしょ、その感じは。で、持ってたすいかを、そーっとお腹に乗せてみたんだよね。


 マジでマジで、なんて言ったと思う?

 うーうーってしばらく苦しそうにしてたんだけどさ、そのうち、

「やめろ……屈葬は……石はやめろ……」

 って言い出してさ! 屈葬だよ屈葬! わけわかんないよね! どんだけ長生きなのよ、って、ほんとに!


 結局、すいか抱いたまま横向いて寝ちゃってさ。起こしてみたら、大昔の悪い夢見てたって。死んで埋められて生き返ったら、石抱かされて生きたまま埋められちゃったことあるんだって! 

 うん、その夢たぶん、原因私だわ、ってね。怒ったかって? ちょっと機嫌悪そうだったけど、あとですいか食べようって言ったら喜んでたよ。ビンボーなんだもん、高矢。


 でさ、この教科書に出てる屈葬石抱きってやつ、もしかして、高矢が初代だったりするのかなぁ? だって、わざわざ石なんかお腹に乗っけて埋める必要ないよね? 生き返った人がいたから、びっくりして乗せるようになったとしか考えられないんだけど……。でもこれ、縄文時代だよね。


 高矢ってさぁ、ほんとは何歳なんだろ。

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