【願い】星に願いを

「今日は七夕か」

「古代の祭りですね。年に一度だけ、星の逢瀬に願いをかける」

 私の最高傑作ロボットである彼はそう答えた。

「その通りだ。よく学んでいるね」

「ありがとうございます。ときに博士。どうして星に願いをかけるのですか。天体にそのような機能はないかと思われますが」

「そうだな……叶う願いなら皆努力するさ。叶わぬ願いを託すには、星くらい遠い存在がちょうどよかったのかもしれないな」

「叶わない願いほど、遠くの星に願う、ということですか」

「ふふ、そうかもしれんな」

「博士、このコロニーから見える一番遠い星はどこですか?」

「ええ?」

「博士とずっと一緒にいたい、と願いたいのですが」

 彼はそう言うと、空を見上げた。

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