【雨】予定雨

「ううむ、私の頭も錆びついてきたかもしれぬ」

「どうしたのですか、博士」

 私の最高傑作ロボットである彼はそう問いかけた。

「今夜読むつもりだった論文誌を研究室に忘れてしまってね」

「私が取って参りましょうか」

「いや、私が行こう。もうすぐコロニーは雨の予定だ。お前の防水加工は近頃性能が落ちている。濡れて再加工前に錆びついてはいけない」

「それならば、なおのこと私が行った方が良いのでは」

「どうしてだ?」

「博士が雨でさらに錆びついては困ります。誰も私を直してくれなくなりますから」

「ははは、私を心配してくれるのは、もうお前しかおらぬかもしれんな」

「なるほど、身から出た錆、というやつですね」

 彼は得意げに微笑んだ。

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