中学・高校⑧ 保健委員と携帯電話 後編

ミッションはなんと成功した!


Yさん(とついでにその流れで同地区の他メンバー)の連絡先をゲットしたのである。


生まれて初めて異性に連絡先を聞けた喜びから、小躍りしながら家へと帰る。


家に着くと携帯はリビングの充電器にセットした。


携帯契約時に親との取り決めにより、家では携帯の充電器は自分の部屋ではなくリビングに置かされ、勉強する時間にはそこにセットせねばならなかった。当然携帯を自室で使うことは許されなかった。


しかし、勉強している間も興奮冷めやらず、携帯が気になりウズウズする。Yさんに挨拶メールを送ったあと、2通目のメールを送ったが、返信は届いているだろうか?


そんな中母親が風呂に入った様子だった。K氏はまだ帰ってきていない。

チャンスだ!


リビングに行って、携帯をチェックする。センター問い合わせすると、一通届いている。


Yさんからの返信か!?


違った。M君から「Yさんにメール送った?」との内容であった。お前かい。直ちに返す「送ったけど返信がまだない。おまえこそ誰かにメール送った?」「俺は○○さんに送ってみてる」…等々


M君とそんなやり取りを続けていると母親が風呂から上がってくる音が聞こえたので、慌てて携帯をリビングの充電器に戻し、自室へと戻り勉強を再開した。


その間も頭をめぐるのはYさんからの返信のことばかり。いまこの間にもメールが届いていないか気が気でなかった。夢うつつの状態で机の前に座っていた。


しばらくすると、急にリビングの方で母親の怒号が聞こえた。


嫌な予感。


そのまま僕の部屋に向かってノックもなく突入してきて、叫ぶ。


「あんたーーー携帯勝手に触ったやろーーーー!!」


目の前が真っ暗になる。


なんと母親は勝手に僕の携帯を開け、メールの送受信履歴を確認し、自分が風呂に入っていたであろう時間にメールを送っていないかをわざわざ確認しやがったのである。そして見つけるや否やこの狂乱ぶり。


この家にはプライバシーという概念はないのか


そのまま携帯は取り上げられ、触ることも許されなくなった。


Yさんにもメールを送る機会もなくなった。まあ携帯を持ち続けていてもやり取りが続いていたかはわからないけど。


こうして僕の初めての携帯電話は契約して2週間で解約となったのである。


高2の夏終了。

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