中学・高校⑦ 保健委員と携帯電話 中編

その頃といえば、ちょうど携帯電話が普及してきたころだった。iモード全盛期である。クラスメイトも半分以上が持ちだしてきていた。


親たちにお願いしてみるが、もちろんただでは買ってはもらえない。

ただ良好な成績を維持できたこともあり、1学期の初めから繰り返し頼み込んだおかげか、夏休み直前に買ってもらうことができた。


そして夏休み序盤。例の夏合宿に突入する。


合宿中はといえばYさんに釘付けであった。


2日目の朝、宿泊施設の朝食はビュッフェスタイルであった。みんなで並んで取っていくのだが、僕がポテサラに手を伸ばそうとした瞬間に、後ろの方でYさんがほかの女子と「私ポテサラ好きなんだー」と話しているのが聞こえたかと思えば、気付けば自分の皿にはポテサラが山盛りになっていた。


何を言っているかわからねーと思うが、俺だって何をされたかわからねー。


合宿中はそんな調子だった。


肝心の話し合い自体はつつがなく終了し、同地区のみんなで帰路につく。


その間で僕は思った。他校との保健委員の交流はこの合宿以外は特にないし、来年高3ではお互い保健委員の活動はしてないだろうから、もうYさんとは会うことはないだろう。そう考えると胸に迫るものがあった。


今日が最後?嫌だ。


解散の直前になって、その日何度も飲み込んだ言葉をやっとのことで吐き出す。


「メールアドレス聞いてもいい?」

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