その頃、流行っていたものといえばエミネムだろう。

僕もエミネムのＣＤを買い、通学・下校中にずっと聞いては歌詞カードを凝視しながら早口な英語を言えるように練習していた。

そんななかエミネムの半生をモデルにした映画「８マイル」が公開された。

ある日友達４人でその映画を見に行き、そのあと自分の家に泊まる事になった。なかなか友達が自分の家に遊びに来ることはないので、大いに楽しんでいた。

途中、エミネムの音楽をかけることになった。ＣＤをラジカセの中に入れ、再生ボタンを押す。すると友達の１人がＣＤラジカセの液晶部分が割れている事に気づき、「どうしたん？」と聞いてきた。

苦笑い。割れた時の事は忘れられない。

「あーこれね。エミネムを聞きながら勉強していたら、母親が『うるさいんじゃー』と叫びながら部屋に急に入って来て、目覚ましを投げつけられたら、こんなんなった」と包み隠さず言った。

しーん…

変な空気になってしまった。みんなドン引きである。

そう、自分の家庭は「普通」ではないからね。普段から抱いていた考えを妙に実感できた。

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