中学・高校② 小言
ただし、小学生の時と全く同じというわけではなかった。
親たちのやり口はすでに学習済みであるし、体も成長してきた。小学生の時のように新聞棒で叩かれて泣きながら従うなんてこともなくなった。
それに中学に進むにつれて勉強の難易度も上がり、自分たちが見れる範疇を超えたためか、親が真横でみながらリビングで勉強するという事もなくなった。やっと自分の部屋で勉強するという形になったのである。
その代わり、親たちは小言が増えていた。
内容は「勉強はしてるか?」「今度のテストでは○○君に勝たないとな」…
毎回判で押したように似たような内容であった。そして「より精進します」旨の発言を僕がするまで続くのだ。
「話半分」という表現があるが、その頃の僕は親たちが言うことを話1割ぐらいでしか聞いていなかった。正直返事をするのも面倒臭いくらいだ。
親がいつものように勉強の話を始めると適当に聞き流し、ハイハイと返事をしながら、話疲れるのを待つのである。自分の精神力の消耗を抑えつつも、相手を疲弊させる。そして、しばらくしたら「うん、頑張る頑張る」と言いながら、話を切り上げる。忍法空返事の術である。
ここで重要なのは下手に「次のテストでは○位以内を取れるように頑張ります!」などと、具体的な事を言わない事であった。言うのは簡単だが、当然実現は困難である。勉強を頑張らない訳ではないが、失敗した時のリスクが大きすぎる。きっとそれを口実に、自由な時間が奪われ、新たな塾へ通わされたりと拘束が強まることであろう。今までの経験から知っている。
だから曖昧に「頑張る」ぐらいの内容でしか、僕は言わない。親たちも納得はしないが、納得するまで続けるしかなかった。納得しないときは空返事の術からやり直し。
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