中学・高校① 落鳳坡

結論から言うと、中学に入ってからも親たちの考え方は大して変わっていなかった。


中1の夏休み前、1回目の期末テストが返ってくるなり親たちは聞いてくる。「順位はどうだった?」


ただ中1の間はそれまでと比べてゲームをする時間もあり、友達と放課後遊ぶこともあった。成績もなんだかんだ20位以内をキープしており、5位以内に入ってPS2を買ってもらったりもした


中2に入り、2学期の頃だったろうか、当時流行っていたのは「真三国無双2」であった。敵を何千何百と切り倒していく、いわゆる無双ゲームの第2弾である。横山光輝の「三国志」を読んでいた僕は当然ハマっていた。


ある日、その日のクリア目標である「成都攻略戦」というステージをプレイしていた。劉備が蜀の地を得るための戦いで、歴史上でも重要な戦いである。途中のイベントで軍師である龐統を失いながらも、成都へと兵を進めていき、敵軍総大将の劉璋の下へと向かっていく。テンションも最高潮。


その時、母親が言う。


「はい、行くよ。」


え?と思う。どこに?


あわててセーブをし、母親の運転する車へと乗っていく。着いたのは英語の私塾であった。


聞いてない。なんでこいつらは前もって知らせるという事ができないのか。


まあ前もって知らせたとしても、自分の意見の是非など関係なくここに連れてこられるので、結果には影響を及ぼさないのだが…


テンションはガタ落ちであった。的驢馬を主君劉備に与えられた直後に落命した龐統はこんな気持ちであったろうか(笑)


そんな事を考えながら、小学生の時の「あれ」がまた始まるのか、そんな予感がした。なんだ、何も変わらないじゃないか。

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