小学生⑦ 福沢諭吉

ある日大分県中津市にある福沢諭吉の生家に3人で行った。


小学生ながら「学問のすすめ」を書いたすごい人だとは知っていた。てか勉強させられていた。


生家の敷地に入り、福沢諭吉が勉強していたであろう部屋を指さし、母親がこう言う。


「福沢諭吉はね、勉強する時に針を机の上に置いてたらしいの。勉強中に針がある緊張感で眠くならないし、万が一眠ってしまっても頭が前に倒れたら、それが刺さって痛みで目が覚めるんですって。それに比べたらあんたの勉強なんて生易しいものね」


戦慄した。


漫画なら「ざわっ」という擬態語がついたであろう。一瞬にして背筋に寒気が走る。


果たして福沢諭吉が本当にそんな勉強法でやっていたのが知らないが、本当だとしたら凄まじい勉強法だ。(現在ネットなどで調べてもそんな事書いてあるものが見当たらないのですが。もし有識者がいらっしゃったら、そのことの真偽について教えてほしいです。)


真偽はともかく、少なくとも母親は今の僕の勉強では満足していないという事はわ伝わった。なんなら今後もっと厳しくしてやってもいいんだぞ、という脅しにもとれる。針に刺されながらの勉強なんて御免である。それを避けるには勉強を頑張るしかない。


天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず。だって?

でも、僕は母親の支配下じゃないか。


母親の嘘なのかもしれないが、そんな勉強法を実践したという福沢諭吉を僕は憎んだ。

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