小学生② 新聞棒

それからは昼は学校、夕方からは塾、家に帰って夜中まで勉強という毎日であった。中でもつらかったのは家での勉強だった。居間のテーブルで勉強させられていたのだが、常にK氏が横についているか、キッチンから母親からの監視の目が光るという状態だったのだ。


特にK氏の場合は、右手に新聞紙をガチガチに丸めて持って(自分は新聞棒と呼んでいた)監視している。間違えたり、居眠りをしようものならそれで殴りつけられるのだ。小学校低学年の自分には40代の脂ののった男性の腕力は恐ろしいものであった。間違えては叩かれ、叩かれて泣いてると「泣くな」と叩かれる。肉体的にも精神的にも打ちのめされていた。10歳ぐらいまで毎日家で泣いていたような気がする。こんなに泣いて「よく目はヨボヨボにならないな」なんて体への興味を持ったものである。


何度かこういう事もあった。

K氏も仕事で疲れていたのだろう、12時近くなると自分を監視しているはずなのに、先にK氏が眠りだした。こっちだって眠気を我慢して勉強しているのに、真横で船をこがれたら堪ったもんでない。怒りを感じながらも勉強を続けてしばらくすると、さすがに自分も眠気に抗えなくなり、寝落ちしてしまった。そしてそのタイミングで起きたK氏が「寝るなー!」と新聞棒で殴りつける。

「えーーー!」である。「いや、お前もな!」と何度も心の中でツッコミを入れた。


さすがに理不尽がすぎるよね。

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