No.7-26
今日が。
今日こそが、フランと私の関係を。そしてこれからを決める日なのだということを、私は理解していた。
私は、彼女が部屋から出ていくのを察知した。それを止めようとも思ったが、それは私とフランの約束を破る行為になる、と感じた。
私は、正午には家を出ようとした。しかし、店から渡された連絡用の電話機の着信音が、静寂の中にある部屋を切り裂くように、鳴り響いた。
「ジェーン。君の得意がね、君に会いたいと言っているんだ」
「……すいません。今日だけは」
「ジェーン。私を困らせないでくれ……最近何かと、君の近辺で何か思い煩うことがあるのだということは知っている」
けれどね。相手はそう話す。
「あの客は大事な客だ。うちに一番、金を落としてくれる。あの男の落とす金で君と他の十人を養える。それを拒否するということは、どういうことなのか。君なら、理解できるだろう」
「私は」
「大人になるんだ、ジェーン。君にとって本当に必要なものは何なのか、理解してくれ」
二時までに店に来い。そう言って、相手は電話を切った。
「本当に必要なものなんて、私にも分かんないよ」
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