No.6-2
私達のうち、七人が最後まで生き延びた。けれども、私達のために拵えられた機体は四つしかなかった。結局、私達はその段になってとうとう仲間を蹴落とすはめになった。
その四機。選ばれた四人の一人が私……あぶれた三人がどうなったのかは私にも分からない。もっと言えば、私がそのあぶれた三人より優秀であったのかどうかも、いまいち分からない。
私がその戦闘機に乗って初めての任務を課せられた時、ふと考えた。
「どうして自由に空を飛んではいけないのだろう」
翼を持つ生き物はもっと自由に空を飛ぶ。鳥が誰かに命じられて空を飛ぶなんて考えられないし、彼等はその翼で何処へなりとも飛んでいける。私達が飛べるのは、何処其処に爆弾を落とせとか、敵の戦闘機を破壊しろとか、何かを命じられた時のみだった。
自由に空を飛びたい。
私の脳裡に浮かんだその考え、欲望は徐々に存在感を増していき、やがてとうとう現実と理想が転倒するようになった。つまり……自由に空を飛びたい、ではなく、自由に空を飛ぶんだ、という風に……。
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