No.5-56

 砲撃を開始した数時間後、敵方からの銃声が明らかに減少した。第二十七歩兵連隊司令部は偵察部隊を編成し、各陣地に近付いた。そこには自軍の兵士と、そして、夥しい数の敵兵の死体が転がっていた。

その間に、531高地を覆っていた深い霧は晴れ、直後にヘリコプターの近付く音がするのが分かった。

軍曹は無線によって連隊員全員にこう宣言した。

「ジャックポットだ。我々はこの賭けに勝利した。ヘリ部隊に続いて我々も進軍する」

 そうして、敵部隊は壊滅し、それでも尚戦闘は続けられ、第二十七歩兵連隊にも損害が生じた。彼等山岳猟兵の勇気と誇りは称賛に値するものであったが……この局面においては、全く無意味であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る