No.5-55

 この司令部における会話の後に、三つの防衛陣地で戦闘を行っているそれぞれの指揮官に対して、撤退の可能性について示唆をした。返答はこうであった。

「後方部隊の援護抜きには撤退は不可能っす。逃げるなら今しかないっすよ」

 またもう一人も同じような言葉を返した。

「部隊が殲滅されるぐらいならば我々を見捨てて撤退するべきだ。我々は包囲され、殲滅されつつある」

 これを聞いてエダ軍曹は、陣地に対し砲撃を行う旨を伝えた。三名のうち二人は絶句の後に了承の意を伝えたが、サリー・レーンだけは少しだけ違う答えを返した。

「これ、多分軍曹の作戦じゃないっすよね。誰っすか?」

 軍曹は答えた。

「……ミカサ・アキヤマによるものだ」

 サリー・レーンは答えた。

「ああ、成程。あの子の言うこと、本当だったんすねぇ」

 軍曹は言葉を返せなかった。

「いいっすよ。やりましょう」

 サリー・レーンはそう言って、無線を切った。

直後、砲撃は開始され、三つの陣地からの通信は途絶した。

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