第89話 海・ビキニ・夏

笹島「ここが、今回の合宿で泊まる旅館だよ。」


鈴木「(電車を乗り継いで、2時間。それからバスで30分。たった今、旅館の部屋に通されたばかりの俺たち。・・・さりげなくだがひとつの疑問がある――。俺は別部屋じゃなくていいのか?! 本当に同じ部屋でいいのか??? 一部屋しか用意されていないってことは、それでいいんだよな!!! 美少女4人と同じ部屋で寝泊まりするってことでいいんだよなああああああ!!! 思わず心の中で叫んでしまった。興奮が止まらない。――そして、旅館の部屋の窓を開けると、目の前には、見事な景色が広がっていた――。)」


明彩「目の前は、海っ! 後ろは山っ!!!」


涼葉「隣は、不気味な神社。」


柳生「涼葉、念のために一発、宝蔵院爆炎龍(ホウゾウインバクエンリュウ)をうっておくか?!」


鈴木「やめろ、それはやめろ! お前……うったあと、人格が変わるだろ……。」


柳生「な、何を言う! 鈴木こそ、私をイヤラシイ目で見て、なにを企んでいるのだ!? ま、まさか……。」


鈴木「勝手に体をくねくねもだえさせるなっ!(――それにしても、潮風が気持ちい。水平線が広がる青い海に、突き抜けるような青空。波の音に加えて蝉の鳴き声が重なり、夏の雰囲気を盛り上げている。)」


笹島「みんなに、喜んでもらえて嬉しいな。ここを探すの、結構苦労したんだよ。あはは。」


鈴木「にしても、こんな立派な旅館の宿泊代……、よく学校が負担してくれたよな……。」


笹島「ううん。本当はね、ちょっと違うの。」


鈴木「ん?!」


笹島「学校が出してくれたのは、旅費の半分だけ。後の半分は、うちのパパが出してくれたんだよ。」


明彩「えええっ! それなら、私自分の分は、自分で払おうか?」


笹島「いいのいいの! 気にしないで。パパがね、私に図書委員の友達が出来たって知って喜んでくれてるの。パパ的には、お金は全部出したかったみたい。だから、遠慮しないで。みんなで楽しんでもらえたら、私はそれだけで嬉しいと思ってるんだよ。……鈴木君……には、ご褒美の・・・おっぱいも……もらってほしぃ……。」


鈴木「(え、今何か聞こえたような。最後の方が小さな声でよく聞こえなかった……。)にしても、笹島のパパって、なんの仕事してんだ?」


笹島「笹島書店の代表取締役なの。みんなには、内緒にしてるんだけどね。」


明彩「ええええええぇぇぇ!!! それって超金持ちじゃんっ!」


鈴木「お前、目の色が変わってんぞ! (まぁ気持ちは分かる。笹島書店といえば、不況と叫ばれる出版業界の中で、世界展開し、成功をおさめている大企業だ。なるほど、笹島さんが、穏やかな性格に加えて知的なわけが納得できた。つまり、笹島さんは、超がつくほどの――お嬢様!!!)」


笹島「うちのパパ、図書委員の仕事に関してはすごく応援してくれてるんだよ。図書室がなくなるかもって話した時は、買収して隣に図書館を立ててやろうか! とかちょっと普通の人と感覚が違うところもあるんだけどね。あはは。だから、本当にお金のことは、気にしないでね。………………鈴木君にはちょっと……お願いしたいこともあるんだけどね……。」


鈴木「(また最後の方が、よく聞き取れなかったぞ。まぁいいかっ!)」


明彩「よーし! 夜ご飯までは、思いっきり遊ぼー!!!」


鈴木「(そう言いながら早速、服を脱ぎ始める美少女たち――。ワッツ!!! いきなり生着替え!? し、刺激が強すぎる。ここに男子が一人いますけどおおおおおおおおおぉぉぉ!!! ドギマギしていると、美少女たちの服の下からは、ビキニと透き通るような生肌が見えた。明彩の大きなおっぱいは、ビキニトップが窮屈そうだ。にしてもすでに水着を着ていたのかぁ。鼻血が出るかと思った……。俺も急いで着替えると、)」


明彩「海まで競争よっ!」


鈴木「(と、走り出す明彩。とっさに笹島さんに、手を引かれて、俺はいつしか走りだしていた――。なんか、世界がキラキラ輝いている――。)」


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