第78話 クール美人のSレア姿
鈴木「(涼葉さんに連れられて、とある建物にきていた。壁一面には、仕事募集の張り紙。血が垂れたような文字で読むのも恐怖なのだが、どうやら妖怪退治に関する仕事募集が掲載されているようだ。)ってことは、退治できそうな妖怪を探しだせばいいんだな!?」
涼葉「それは、違う。」
鈴木「っえ? じゃ……壊した傘代と、新しく傘を買えるお金が手に入る、金銭面を重視して選ぶとか?」
涼葉「それも、つまらない。」
鈴木「じゃ選ぶ基準は……?」
涼葉「――私はハラハラ、ドキドキ胸が苦しくなる、そういうデートがしたい。手も繋ぎたい。……チュウもしたぃ。」
鈴木「(おおお!!! 涼葉さんが俺のことをそんな風に想ってくれていたのか。嬉しい! それなら、チュウからの……、あんなことやこんなことも期待しちゃいますけどっ!)」
涼葉「うん。これにする。やっと見つけた。」
鈴木「(涼葉さんは一枚の張り紙を手に取ると、目をキラキラと輝かせていた。ついに、デートが楽しくなる妖怪退治を見つけたようです。なんか期待できそう。)」
涼葉「これを、お願いする。」
鈴木「(と、張り紙を案内所のおかっぱの女性・座敷わらしに差し出す涼葉さん。)」
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――――――――――
――――――――――――――――――――
――――――――――――川に現れる、牛鬼を退治せよ。――――――――
鈴木「(少しの不安はあるが、涼葉さんが選んでくれたデートプランと思えば、ワクワクしかない。まぁここまで来たら、ケチをつけても仕方ないだろう。)」
座敷わらし「えぇっと……。こ、こ、これですね! し、し、少々お待ちくださいっ!」
鈴木「(と、慌てて奥の事務所へと入っていく座敷わらしを待つこと数十分。俺と涼葉さんは、いつかし案内所内で――何故か、たくさんの人に囲まれていた。)」
案内所の妖怪A「牛鬼退治に行ってくれる勇気ある方は、あなた達ですね。」
案内所の妖怪B「心より感謝申し上げます。くれぐれもお気をつけて!」
案内所の妖怪C「この若き二人に栄光あれ! カンパーイ!!!」
鈴木「(……何故か歓迎され、何故か冒険者ぽい服装に着替えさせられ、何故か涼葉さんの露出がすごいことになっている。そして、何故か涼葉さん本人はその服装を喜んでいるわけで……。最後は、盛大に見送られてしまった……。極めつけは、何故か上目遣いで、涼葉さんがこっちを見てくる……。)」
涼葉「鈴木、私に言うことは?」
鈴木「え、えぇっと。あっそうだ! 牛鬼ってどんな奴か知っておきたいな。」
涼葉「それは、私の質問の答えになってない。」
鈴木「(涼葉さんが、とても悲しそうな顔をしている。)」
涼葉「私を見る。良く見る。」
鈴木「(見る? えぇっと……。涼葉さんは、乳首をぎりぎり隠す服装で、下半身はパンツの見えそうな短いヒラヒラのスカートを履いている訳で……。ってこんなの凝視できません! だから、見ないようにしてます。)」
涼葉「ほらっ!」
鈴木「胸を突き出して……可愛いポーズとかしなくても、涼葉さんは、可愛すぎますから……。」
涼葉「可愛い?! 良かった――。」
鈴木「でも、それ防御力ゼロじゃ……?」
涼葉「防御力は、デートに必要ない。私は、鈴木の前で、可愛くありたい。可愛がってもらいたい。鈴木をムラムラさせたい。それだけ。だから頭なでなでして。」
鈴木「(えっと……。もはやこれがデートなのか、牛鬼退治なのか。……ちょっと混乱してきている……。でも、確かに涼葉さんはいつもの制服姿に比べて3倍増しで、魅力的に見えるのは確かだ。小っ恥ずかしいが、差し出された頭をなでなですると、涼葉さんは、真っ赤な顔で、気を失い倒れてしまった。パンツが見えて――ますっ! いや、見ちゃいけないっ!)――涼葉さん、涼葉さん!!! しっかりして!」
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