第74話 クール美人は超可愛い

鈴木「(俺は、涼葉さんを抱えるとダッシュ! で、駆け出した!!! こんなの逃げるが勝ちだろ……。多分! 今はそれを信じて逃げるしかなかった。傘お化けを握りしめてとにかく走った。」


――ゾロゾロ、ゾロゾロ……。


鈴木「(……すぐに後ろから化け物が追いかけてくるが、階段を駆けおりて、少しは化け物たちと距離を取ることが出来た。)」


………………さぁて……。


鈴木「(やっぱり化け物たちは追いかけてくる。――って階段を飛び越えて、視界の目の間に突然! 化け物が現れた。涼葉さんを床に下ろすと、傘お化けで化け物を払った。」


――おりゃあああああ!!!


鈴木「(しかし、分かったことがひとつある。――やっぱ逃げるって選択は通用しない……。改めて化け物に傘お化けを構えると、傘お化けの先が刀に変化した。)」


――シュー!


鈴木「やってやろうじゃないか!!!」


――――――おうぅおーーーおぉぉぉおおおお!


シューー!

シューー!


シューー!

シューー!

シューーパン!


鈴木「(何か変だ。化け物たちは、俺の体力が消耗するのを待っているかのように、じわじわと攻めてくる。ってことはだな! どこかにボスがいてそいつがこっちの動きをじっくり観察してるってことだ。どいつがボスだ……?! ……………逃げて走った時から観察してたのだが。……っぁあ、あいつだ! こそこそと一番奥に隠れてる奴を発見!!!」


っうぶぁゔゔぁあああぁぁああああ……。


鈴木「(――突然、化け物の頭突きを腹にくらい、胃液が口から飛び出た。その衝撃で傘お化けは、俺の手を離れてしまった。最悪なのは、倒れ込んでいる涼葉さんに化け物の糸が巻きつき、――やめろおおおおおお! 叫んだところで俺の体力は限界で……体が思うように動かないのだ。……涼葉さんを守りたい。その気持ちだけじゃどうしようもなくて……。)」


――シュシュシュシュシュシュ!!!


鈴木「(っ……て! 傘お化けが再び妖魔に包まれたかと思うと、次の瞬間――、傘が開いて、傘の親骨と露先の部分が刀に変化した。はっとして、涼葉さんを見やる。涼葉さんが意識を失っているのは間違いない。おまけに化け物の糸が体に食い込みはじめていて、血が吹き出ている。なのになのに――!!! 体内から妖魔だけが流れでて、傘お化けにその力を与えているのだ。)」


――

――――――

――――――――――――


――――――――シュシュシュシュシュシュ!!!

――――――――シュシュシュシュシュシュ!!!

――――――――シュシュシュシュシュシュ!!!


鈴木「(傘お化けが高速回転しながら、次から次へと化け物を斬っていく―――。それは、あっという間の出来事だった。最後は、ボスの化け物をグサッと突き刺したのだ。」


……

………………

……………………


……

………………

……………………


……

………………

……………………


鈴木「(静けさが戻り……ほっとすると、体の力が一気に抜けた。が、ここで意識を失うわけにはいかないだろ。涼葉さんの元へ駆け寄り、呼吸を確かめた。……息はある! 俺の膝の上に涼葉さんをのせる。お礼の膝枕だ。……こんな状況で怒られるかもしれないけど、長いまつ毛に白い肌、それに小さな鼻。不器用な性格も全部すっげぇ可愛い――。そう思えて仕方なかった。涼葉さんが目を覚ましたら、いっぱい話そう・・・。……あれ……俺まで意識が朦朧として……きた……。)」


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